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京大病院医師、傷害容疑で逮捕 不正入手の睡眠薬を混入

2009.04.22

京大病院の眼科医員の男性(31)が8日夜、傷害容疑で逮捕され、9日未明、同院で記者会見が行われた。

病院側の経緯説明によると、容疑者は2月中旬に同僚のIDとパスワードを用いて不正に睡眠薬「フルニトラ・ゼパム(商品名ロヒプノール)」を入手し、3月27日、後輩にあたる医学研究科院生の女性(32)が病院地階で購入したボトル入りのお茶にその錠剤を混入。被害者の女性は一時意識を失った。30日に被害者が同飲料を扱う飲料メーカーに分析を依頼。結果、その飲料に通常入っていない睡眠剤が混入していたことが分かった。この報告をうけて病院が院内の薬剤処方データを調査したところ、容疑者に同様の薬剤が処方されていたことが発覚。事情をきいたところ、一度は否定したものの、8日、容疑を認め、川端警察署へ自首。同日夜、逮捕された。

容疑者男性は3月までは医学研究科の院生で、4月から京大病院に勤務していた。被害者の女性は大学院の後輩で、顔見知りではあったが、この事件に関してはじめから被害女性をねらったものであったかどうかは分かっていない。動機については「自分でも分からない」と話しているという。

京大病院院長は「警察の捜査に全面的に協力するとともに、容疑事実を確認し、厳正に対処したい」などのコメントをだすとともに、会見で「京大病院を信頼してくれている患者さんに申し訳ない」と謝罪。容疑者への病院としての処分については「検討中」としている。

犯行に使われた睡眠薬の入手方法は院内コンピュータから同僚のIDとパスワードを用いて自身のカルテをひらき、処方したというもの。そのため記録上は同僚の医師が容疑者へ処方したことになっている。院長は「処方システムの問題についても安全性の面からきちんと検討したい」としており、全職員にID・パスワードの漏洩禁止と、処方用コンピュータを離れる際に電源を切る旨の通告をだしているという。



《本紙に写真掲載》