パレスチナ・イスラエルの今を知る 土井敏邦講演会(2009.04.16)

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4月5日、法経第四教室にて、「土井敏邦講演会―ガザ 人権の臨界」(主催:大学院人間・環境学研究科・岡真理研究室)が開かれた。土井氏は20年以上パレスチナ・イスラエルの現状を追い続け、昨年末からのガザ空爆に際しても、1月半ばから3週間に渡り現地で取材活動を行なったジャーナリスト。

始めに「ただ話を聞くのではなく、現場がどのような状態になっているのかを、あなた方の目で見て知って欲しい」と語った土井氏は、自身がガザで撮影した映像を上映しながら解説を行なった。

映像は、イスラエル軍による白燐弾の空爆によって難民支援の医薬品や食料が全て駄目になってしまった国連施設、家族全員がイスラエル軍の戦車から至近距離で銃撃された現場、徹底的な破壊で廃墟と化した工業地帯や農場など直視に耐えないものばかり。土井氏は、メディアは空爆や戦闘といった目に見えやすい事象しか扱わない。すると何も知らない人々はガザに関する報道が途絶えた今、あたかも現地は平和になったかのような錯覚を抱いてしまう。だが、全ての産業が破壊され、全面的な封鎖が続いている今の方が事態は深刻なのだ、と指摘した。そして根底にあるイスラエルによるパレスチナの「占領」という構造を隠して、表層的な事件のみを「暴力の応酬」として「中立的」な報道の見立てをするメディアのあり方を批判した。

また今回の空爆での犠牲者は3000人となっているが、これは単なる数字の塊ではなくて、その3000人の一人ひとりに、それぞれの名前、家族、物語があったのであり、そういったかけがえのないものが一気に失われてしまったのだ、という事をイメージして欲しい、と強調した。

一方イスラエル社会の現状にも触れ、メディアの圧倒的に不均衡な報道もあり、9割以上のユダヤ系市民は一連の攻撃を「正当防衛」だとして支持している。また、国内における貧富の差が急拡大しており、軍部には地方の貧困層出身の若者が多く集まるようになり、彼らは比較的「リベラル」な思想を持つ富裕層に対して反発を覚えている、というまるで1930年代の日本軍部のような状態になっている、と述べた。

会場にはガザの現状を知りたい学生や市民100人程が参加し、土井氏との質疑応答も活発になされた。ただ将来の展望を全く見出せない絶望的な状況に、やりきれなさを感じてしまう講演会であった。(魚)


《本紙に写真掲載》

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