文化

〈日々の暮らし方〉 第8回 正しい自己紹介の仕方 〜第一印象、この取り返しのつかないもの〜

2009.03.11

大学に入ってまず求められることは何だろうか。単位を取る要領のよさだろうか、適度な酒の飲み方だろうか、それともテニスの腕前だろうか。残念ながらどれも間違っている。その証拠に私にはそれらのどれ一つとして身についていないし、また身につく気配すらない。

大学に入ってまず求められること、それは自己紹介だ。学部のクラス、バイト先、サークルの新歓、ゼミ、それらどれでもないよくわからない場など、某学内誌の調査だと昨年4月に新入生が自己紹介をした平均回数は58回だったというぐらいだ。

しかし、それだけ多くの回数の自己紹介が行われているにもかかわらず、多くの学生はことの本質というのを理解していない。自己紹介というのは強烈なインパクトをもって自分を印象付けることを目的としているのだ。それだというのに「はじめまして、松本ヒロシです(注1)」では相手の頭に何一つ残るものはないだろう。名前が平凡すぎるのだ。田母神俊雄とか麻垣康三とか、最低でも尾池和夫ぐらいは言っておかないと、この時点で負けたようなものだ。自分の名前に自信がないなら、ウソでも耳に残る名前を用意しておくべきだ。その程度のウソぐらいなんとでも修正ができる。私などはこのコラムでウソしか書いたことがないぐらいだ(注2)。

ウソをつくぐらいなら目立つ被り物かなにかでもしていけばいいのではないかという向きもあるかもしれないが、これはよくない。私の友人に、最初のサークルの自己紹介で坊主頭に鹿の角をつけてしまったばっかりに、以来もう1年以上そのサークルに顔を出す際はその格好を続けている男がいる。彼が言うには、そうしていないとせっかくの印象が「ナシ」になってしまう気がするのだそうだ。

話を戻そう。名前で目立てばいいというところまでは理解していただいたかと思うが、実際にいざやってみようと思うと、用意はしていても、つい本当の名前を語ってしまうのが人間の性だ。しかし、苗字を言っただけならまだ立て直せる。「福山・・・フランシス、(ひと呼吸おいて周りを見渡してから)F・フクヤマです」このぐらいの立て直しができれば上出来だろう。

各自、以上を参考に4月の自己紹介シーズンを乗り切ってほしい。なお、冗談のような生活術を書いた揚句、実行された場合に責任は負いかねますなどと居直るような企画記事が世に絶えないが、私は決してそのような無責任なことはしない。上記を参考に自己紹介をしてサークルではぶかれた場合は、責任を持って当サークル(注3)にあなたを迎え入れたいと思う。

京都大学日々の暮らし方研究会・編




注1: 例に出した名前がたまたま京都大学現総長と同じ名前になってしまったが、平 凡な名前だということ以外に他意はない。また他の名前についても同様。
注2: これすらもウソだ。
注3: 京都大学日々の暮らしを考える会のことである。京都大学新聞社ではない。