〈Campus Pond〉 第5回 熊野寮(2008.12.16)

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祭の余韻が続く師走のある日、熊野寮に向かった。池にも寮生の雰囲気が感じ取れるのだろうかと勝手な期待を膨らませている内に現地に到着した。

二重の囲いに覆われた池。傍には蛇口がある。防火用水にでも使っていると聞く。水面は意外なことに非常に透き通っていて、底まで見えるほどだった。それはおろか波一つ立たないのである。深部には水生生物もあるようだが、どうやら魚はいないらしい。時間が経つとともに周囲の木々からの落葉がただ降り積もっていく。昼のパン販売のアナウンスだけがやけに響く。

周辺にも動く物は何も見えない。それには一種の恐怖感さえ覚えた。となるとこの空間に存在するのは私ただ一人だけである。この閉塞を破ろうとでも思ったのだろうか、思わず衝動的に足を踏み入れてしまう。やはり冷たい。水深は膝下ほどで、水草のぬめりが感じられたかと思うと底部のコンクリートの無機質さが足の痛みに拍車をかける。そう言えばここに来る前は泳ぐなどとバカな冗談を抜かしていたが、そんな自分の愚かさすら吹っ飛ぶ冷たさだった。私は直ちに身の危険を感じその場を後にした。それまで波一つ立たなかった水面に波紋を残して。(如)

《本紙に写真掲載》

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