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初のスーパー特区、京大から3件 柔軟な研究連携の実現へ

2008.12.03

政府は11月18日、革新的技術開発に対する研究資金の特例や規制緩和を目的とした「革新的技術特区(スーパー特区)」創設に向け、その第一弾となる「先端医療開発特区」の選定結果を発表した。採択された24件のうち、京都大学からは山中伸弥教授の「iPS細胞医療応用加速化プロジェクト」など、3件が選ばれた。

従来の特区は行政区域単位での支援だったが、スーパー特区はテーマ重視の支援。同じテーマに取り組む研究機関や企業の複合体が単位となる。スーパー特区に指定されれば研究資金を柔軟に運用でき、また規制緩和を担当する機関等と意見交換しながら開発を進めることが可能となる。

スーパー特区の第1弾である「先端医療開発特区」は、最先端の再生医療、医薬品・医療機器の開発・実用化を促進する目的で創設された。公募があったのは7月下旬から9月中旬で、(1)iPS細胞応用、(2)再生医療、(3)革新的な医療機器の開発、(4)革新的バイオ医薬品の開発、(5)国民保険に重要な治療・診断に用いる医薬品・医療機器の研究開発(がん・循環器疾患・精神神経疾患・難病等の重大疾病領域、希少疾病領域その他)の5つの分野にわけて公募、143件の応募があった。専門家による評価委員会が研究実施体制、及び5年間の研究計画の妥当性や独創性などを評価し、最終的に24件がスーパー特区として採択された。その中で、京都大学からは3件が採択された。

山中伸弥教授の「iPS細胞医療応用加速化プロジェクト」では、京大、慶応大、東京大、理化学研究所の研究機関とアステラス製薬、島津製作所、武田薬品工業が連携。標準的iPS細胞の作製法研究を基盤としながら、安全性評価の規格化や疾患iPS細胞を利用した創薬、細胞移植治療開発を産学連携プロジェクトで進めていく。

(3)革新的な医療機器の開発分野において採択された「イメージング技術が拓く革新的医療機器創出プロジェクト」(平岡真寛・ナノメディシン融合教育ユニット長)は、疾患の超早期診断やがん治療の質向上などを目標に、放射線治療システムや光イメージングシステムの開発を行う。

(5)国民保険に重要な治療・診断に用いる医薬品・医療機器の研究開発分野において採択された「難治性疾患を標的とした細胞間シグナル伝達制御による創薬」(中尾一和・医学部附属病院探索医療センター長)は、稀少難病の特効薬となる可能性が高い生理活性ペプチドの治験や、がんの分子免疫療法の開発などを軸としたプロジェクトを進める。

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