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関西学研都市への移転を検討 農学研究科附属高槻農場

2008.12.03

京大は11月までに、大阪府高槻市にある農学研究科附属高槻農場の移転について検討を始めた。高槻市から京大へ農場地買収の申し出を受けたもので、10月中の農学研究科教授会で「検討開始」が合意され、その後の部局長会議で京大全体に報告された。移転先の候補地は京都府木津川市にある関西文化学術研究都市。今後は当局本部の企画部が移転に伴う経済的、教育研究的条件を検討していくことになる。年度内には検討の結論がでる見込み。

高槻農場は弥生時代の遺跡が埋まっていることがほぼ明らかになっており、市は京大に対してこれまで非公式に農場跡地に遺跡公園を造成するための買収を申し入れていた。京大はこれらの申し入れを受け入れてこなかったが、今年2月に農学研究科の教授会で移転計画についての検討が初めて提案された。その後、10月9日の教授会でこの議題が確認され、同21日の部局長会議で移転計画検討への合意が報告された。

候補地である「木津中央地区」の土地は現在土地再生機構(UR)が所有している。農学研究科は、本部企画部で進められる計画検討に対し、売却益で新農場の敷地購入と圃場造成が可能なこと、教育研究に影響がでないこと、などの条件をつけたとしている。

今後は学内での反応を見つつ文部科学省との間で現農場の売却と候補地の土地購入について折衝が行われるとみられるが、もし移転が決定した場合、農場での継続的研究や学生の農場実習に対して影響が出る可能性は無視できない。

小坂吉美・農学研究科等事務部長は京大新聞の取材に対し「今回の合意は計画の決定ではなく、あくまでも移転計画検討の合意が決定したにすぎない。大学にとってマイナスになる移転は絶対に行われないし、有り得ないと個人的には考えている」との姿勢を強調した。尚、一部メディア等の報道によるJリーグ・ガンバ大阪のホームグラウンド移転が背景にあるのではないかという質問には「研究科側としては一切把握していない」と回答した。

高槻農場は果樹や穀物の栽培研究及び実習を目的として、1928年に摂津農場として設置された。JR東海道線と阪急京都線とに挟まれた約 15ヘクタールの面積を持ち、京大の農学研究における主要フィールドとしての地位を保ち続けて来た。造成当時は水田地帯に囲まれた光景が広がっていたが、高槻市が大阪と京都の中間に位置する都市としての需要が高まったのに伴い、農場は現在住宅地帯に囲まれる形で存在している。

《本紙に地図掲載》