文化

Campus Pond 第3回 カンフォーラ前

2008.11.17

京大名物のレストラン・カンフォーラの前に池がある。名前はまだない。近づくとコイでも住んでいそうな水辺に独特のあの臭いが漂ってくる。縁に座るとカメが餌を求めて群がってくる。ここまではどこにでもありそうな池の話だが、この池は事情が違うという。

「池のファン」を自任する青谷正妥・国際交流センター准教授に話を伺った。青谷さんが京大に戻ってきた頃、ここは水深が人の胸近くまである防火用水であった。しばらくして、京大の独立行政法人化による改修工事に伴い溜め池に人の手が入った。工事当初のイメージでは学生が足を浸せるような憩いの場になるつもりが、改修計画の変更もあり今では水生生物のパラダイスと化してしまった。なぜか。

池が新しく造成された当初は生物がおらず、これでは淋しいと青谷さんがハヤを数十匹放った。暫くすると、そこには何者かが持ち込んだと思われるザリガニの姿があった。その後、青谷さんはクサガメ、コイ、ナマズなどを放ったものの、気が付けば増殖していた。当初の数から考えればこれは異常で、誰かが鴨川で捕まえて持ってきたのだろう。現在はカメやナマズが十匹近くいる。その大部分はミシシッピアカミミガメ。俗に言うミドリガメで、しかも外来種。青谷さんがかつて放したクサガメとは明らかに違う。「あんな狭い所に十数匹もいれば居心地が悪くなる」と青谷さんは漏らす。

池の深さも変遷を遂げている。上記の改修工事に伴い一度は浅くなったものの、反U字型の排水口がずらされて深くなった。だが2、3年前に大学がL字型の入水口を切断したため再び浅くなった。工事担当者(当時)曰く「入水口が水没すると違法」だという。もはやコイの背びれが見えるほどの水深しか残されておらず、ある院生が事務に連絡し、コイはその後百万遍近くの清風荘に避難された。魚を飼っていたはずなのに…。

更には3、4年前に「トリビアの泉」と書かれた塔が出現した。謎は一層深まるばかりである。

そんな池も、週末ともなれば家族連れも訪れる憩いの場となる。お父さんにはナマズ、お母さんにはカメが人気とのこと。水面に思いを浮かべ、日常から束の間の逃避を味わいたい学生にはおすすめのスポットであろう。(如)

《本紙に写真掲載》