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「心と身体から教育を考える」 新しい教育の可能性を探して

2008.06.18

6月10日、京都大学文学部新館第三講義室でシンポジウム「心と身体から教育を考える」が日本学術会議・心理学・教育学委員会「心と身体から教育を考える分科会」主催で開催された。このシンポジウムは、相次ぐいじめや自殺、青少年犯罪への社会的対応として、いのちの教育や心のケアの重要性が叫ばれている現在、脳や心と身体との関係はいかなるものか、また、善悪の判断の価値形成とはどのような関連もつのか、などの問題に対する基礎的な研究の促進を目的に行われた。

「哲学、脳科学、心理学、体育学、教育学などから、人間をトータルに捉える可能性や、新たな人間観に基づいた教育の可能性を模索していきたい」という鈴木晶子・京都大学教育学研究科教授の開会挨拶から始まったこのシンポジウムは第一部「心と身体から人間を考える」と第二部「心と身体から考える教育の未来」の二部構成で行われ、教育関係者を中心に40名ほどが参加し、演者が提示する資料や映像を見ながら熱心に諸報告に聞き入っていた。

オムニバス形式で行われたそれぞれの報告は自然科学系、人文社会学系と多岐にわたっており、各部の終了時に設けられた質疑応答の時間には、学際的な質問が多く見られ白熱した議論が展開された。閉会挨拶で加賀谷淳子・日本女子体育大学体育学部教授は「今回のシンポジウムで集中的に議論したことは学術的にも大きな意義があり、また様々な学問分野の接点の足がかりとなれば」と話した。

参加した学生(21)は第一部で報告を行った松沢哲郎・京都大学霊長類研究所教授の報告内容に対し「アイ・プロジェクトは何がしたいのかよくわからなかった」と感想を話していたが、休憩時には熱心に質問しに行く姿も見られた。

《本紙に写真掲載》

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