京大硬式野球部 水口創太さん インタビュー 勝負の一年、プロ見据え「結果を残す」
2021.12.01
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今ここに至るまで
―水口さんはいつから野球を始められましたか?小学校2年生からやっていました。ずっとピッチャーです。
―どうして野球を始められたのでしょうか。
家がグラウンドから近くて、野球の体験に行ったら楽しかったんです。友達も入っていて。
―家族が野球をやっておられたりはしますか?
姉が一人いますが野球はやっていないです。父も野球経験はありません。
―膳所高校では、どんな野球生活を送っておられましたか?
厳しくて、京大とは真逆の練習環境でした。
―進学先に京都大学を選んだ理由は何でしょうか。
高校2年生の頃までは筑波大学で野球をやろうと思っていたんですけど、受験期になって周りの友達を見たりして、せっかくだから京大を目指そうと思うようになりました。
―それだけの学力があったということですね。
いや、そんなになかったんですけど(笑)浪人して頑張りました。
―入学する前の京大野球部のイメージはどんなものですか?
レベルの高いリーグに入っているので、環境がすごくいいなと思っていました。それも京大を目指した理由の一つです。
―コロナ禍で制限が多い中、何を考えて活動していましたか?
全体での練習が無くなった分、個人練習で差がつくと思ったので、逆に差をつけてやろうとフィジカル面を中心に練習しました。
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投球スタイル
―自身の強みはスピードより投げ下ろすこととのことですが、投げ下ろすタイプの投手は打ちにくいのですか?そういうピッチャーを見る機会がないと思うので、打者からすると見たことのない軌道だと思います。球が上から来るので、相手はあまり練習ができないと思います。
―三振をとる、ゴロを打たせる、というようなこだわりはありますか?
リーグ戦ではそういう意識はなかったですね。結果アウトになればいいと思っています。
―データ班の三原さんは各投手に習得すべき変化球を助言されるそうですが、水口さんはそういったアドバイスを受けたことはありますか?
今持っている球種が割と合っていると思います。
―球種は具体的には?
カットボールとフォークです。どちらも120キロちょっと…125キロほどのスピードですね。カットボール(速い変化球)と言っているんですけど、実質スライダーみたいな感じですね。
―フォークは決め球に使うこともあるのでしょうか?
何回か三振を取っています。
―ではメンタル面で、ご自身を分析されるといかがですか。
いつも通り投げることが大事で、必要以上に意識はしていないですけど、試合前の調整にはこだわっていて、きちんと投げられるように色々考えています。
―緊張をよくしがち、といったことはないですか?
野球ではそんなに緊張はしないですね。
―意識されている課題があれば教えてください。
変化球やコントロール、フィールディングなど課題はたくさんあって、この冬で直していきたいです。全部直さないといけないと思ってます。
―変化球については、具体的にどう変えるのでしょうか?
例えばカットボールだったら、スピードをはやくした方がいいですね。
―現在の大学通算成績を見て、来シーズンに向けてよくしたい数字はありますか?
四球は減らして、防御率にはこだわりたいです。イニングは多ければ多いほどいいですけど、そんなに意識はしていないです。先にストライクを取れるとカウント的にピッチャーに有利になるので、ボールカウントが先行しないようにすれば成績もよくなると思います。
―四球を減らして奪三振を増やすためには何が必要だと思いますか?
やっぱりコントロールだと思います。そのためには投球フォームと指先の感覚が大切です。
―指先の感覚はどうすれば良くなるのでしょうか。
難しいので正解は無いと思いますけど、僕はたくさんボールを投げることで感覚が身に着くと思います。
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今秋のふりかえり
―今秋のリーグではリリーフでの登板となりました、振り返っていかがでしたか。連投が4回あって、1試合目はある程度抑えられたんですけど、2試合目は疲れが見えるというかあまり成績が良くなくて、次の課題です。
―試合で投げるのとブルベンで投げるのはやはり違いますか?
それは全然違いますね。アドレナリンが試合だと出るので、ブルベンよりはいい球が投げられます。疲れはどちらでも出るんですけど、プレッシャーがあって試合の方が疲れますね。
―この秋リーグで先発登板はありませんでした。水口さん自身は先発登板をしてみたいという気持ちはありますか?
首脳陣の決めた場面で投げよう、という気持ちです。
―最終登板は10月24日の関西学院大学戦だったと思うのですが、いかがでしたか?
4回生が最後ということで、楽しもうと思って投げました。身体は結構疲れていたんですけど、頑張って投げました。
―今秋で一番覚えている試合はなんですか?
初登板の、近畿大学に開幕戦で勝った試合です。京大でもある程度のレベルまでいけるのではないかと思いました。
―対戦して嫌だった打者はおられますか?
近大の梶田蓮選手です。三振をしないですし、春に1回と秋に2回対戦して、2本ヒット打たれたと思います。
―同リーグにはプロ野球に行かれた選手がいると思うのですが、対戦経験などありますか?
関西大学の野口智哉選手(オリックスドラフト2位)はあります。今秋にセンターフライとショートへの内野安打でした。
―プロに入られた選手に対して、やっぱり違うなと思われた点はありますか?
野口選手のスイングスピードは他の人より速かったですね。
―他にプロになられた選手とのエピソードはありますか?
春と秋に、関学の黒原拓未投手(広島ドラフト1位)を見ていました。特に春は球の勢いがすごいというか、レベルが違うと思いました。
―水口さん自身は最速152キロを10月3日の同志社大学戦で記録されていますが、その日は調子が良かったんでしょうか?
そんなこともなくて、記録したほっともっとフィールド神戸はスピードガンに実際より速い数字が表示されると言われることもある球場なので、特別何かあったわけではないです。
―自身では実際の最速は何キロほどと思っていますか?
わかさスタジアムで出した149キロくらいかな。
―いずれにしても京大史上最速投手ですね。ちなみにこの呼び名については?
何とも思っていないです(笑)嫌だなあ、とかもありません。
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京大史上最速投手
―直球のスピードはいつから速くなったのでしょうか?入学時点では最速140キロだったとか。
そうですね、そこから毎年5キロくらいずつ速くなっています。順調に伸びて行っています。
―どうしたら速く投げられるのでしょうか。
一番はやっぱり体重が増えたことです。入学時が84キロとかで、今は95キロくらいです。
―秘訣は食べることですか?
そうですね。バランスよく食べてます。
―大学の食堂は利用しますか?
食堂はよく使っています。よく行くのはカフェテリアルネと南部食堂、あとはたまに北部食堂です。ご飯は基本的に特大を頼みます。
―19年春から20年秋は公式戦での登板は無かった中、今年ついに公式戦に出られていますが、これは何が原因ですか?
コントロールがよくなって、ある程度試合を作れるようになったことだと思います。
―それはなぜよくなったのでしょうか。
投球フォームが安定してきて、指先の感覚も良くなったからだと思います。秋の前か、今年の夏頃かな。リリースを少し下げたというか、下げる意識でやったら……斜めから投げる意識でやったら、指の感覚が良くなってリリースポイントも安定しました。
―オーバースローからスリークォーターにしたということでしょうか?
感覚の話なのでそんなに変わってはいないですけど、意識の上では変わりました。
―フォームでモデルになった選手はいますか?
それはいないですね。フォームに関しては基本は自分で考えて、青木監督もアドバイスをくれました。
―腕を下げたことによって球速が速くなったということも?
それもあると思います。
―それでどうして球速が速くなるのでしょうか。
右腕、右肩、左肩を一直線にするイメージです。力の向きが一直線になった方が発揮しやすいからだと思います。
―速いストレートは極めていきたいですか?
それはありますね、極めていきたいです。
―まだ伸びますか?
まだ伸びると思います。
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これからのこと
―今のオープン戦に登板する予定はありますか?秋はないですね。次は来年の春です。
―今は何に重きを置いて野球と向き合っていますか?
今は最終学年なので、しっかり結果を残すということだけです。
―結果を残すためには?
今まではフィジカルばかり鍛えていたんですけど、これからは技術面も上げようと思います。
―技術面とは、具体的にはどのようなものでしょうか?
フィールディングや牽制です。あとは投球フォームもですね。
―今後の進路はどのように考えておられますか?
プロに行けたら行きたいですけど、就活もやりつつ……という感じです。
―もしプロ野球に指名をされたらそちらに挑戦するということでしょうか。
今のところそう思っています。
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最後に
―新しくキャプテンが出口さんになりました。頭を使って、的確な指示を出して練習をしているので、来年のリーグ戦が楽しみです。
―水口選手は京大出身の選手で唯一プロを経験した元ロッテの田中英祐さんにお会いしたことがあるとお聞きしました。
一回だけありますね。ピッチャーを集めて田中さんの話を聞いたり、質問に答えてもらったりという会です。去年の秋くらいです。
―プロ野球の関係者で言うと、水口さんは元ソフトバンク選手の近田監督と話していて、なにか気付きを得たことなどはありますか?
基本的には自由にやらせてもらっていて、すごくやりやすい環境を作ってもらっています。
―来年は4回生ということで勝負の一年だと思うのですが、春リーグの開幕に向けて意気込みをお願いします。
チームが勝てば自分も注目されると思うので、やっぱりリーグ優勝を目指していきたいです。