附属図書館の夜明けの時代 「京⼤図書館の起源―知の集積地として―」(2021.11.16)

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11月2日から、時計台記念館1階の歴史展示室で、京都大学文書館の企画展「京⼤図書館の起源―知の集積地として―」が開催されている。取り上げるのは1899年、京都帝国大学設立の2年後に創設された附属図書館だ。計48点の資料を通して、今なお数多くの学生が利用するこの図書館の黎明期を追う。

展示は4つのテーマで構成されており、最初は附属図書館創設に尽力した初代総長・木下広次に焦点を当てる。木下は東京帝大で教授を務めていた際、図書館の運営に携わっていたという。1897年に国が設立した帝国図書館の、公共性の向上を目指す理念に影響を受け、京都帝大の図書館は大学関係者に加え一般市民も利用可能にすることを目指した。一般公開は実現できなかったものの、展示にある入学者への式辞では「我此図書館には当時一切の書を集めつつあり」と述べており、館の運営に対する木下の熱意がうかがえる。

次のテーマでは最初期の館長に注目する。そのひとりは『広辞苑』を編纂したことで知られる新村出で、言語学教授と三代目の館長を兼任した。書庫にある「特殊文庫」の設置こそ新村の功績で、特定の個人や一族が収集した図書を集め散逸を防いだという。パネルの解説や新村宛の書簡からは、言語学者や辞書の編者とは一味違う新村の一面を味わうことができる。

残りふたつのテーマでは初期の図書収集と閲覧室・書庫を取り上げている。附属図書館は新刊書の購入や個人の寄贈はもちろんのこと、1899年に廃業した貸本屋・大野屋惣八店からの買い上げによっても蔵書を集めた。買い上げたのは主に江戸時代の文学書で、企画展ではそれらのうち『雨月物語』など貴重書に類される資料が展示されている。また、当時の学生は特別に許可を得ない限り書庫で図書を検索することができなかったという。学生証をゲートにかざすだけで書庫に出入りできる現在との差が興味深い。

数多くの人々の尽力で作り上げられたこの図書館、目いっぱい活用できている学生がどれほどいることだろう。附属図書館に込められたさまざまな思いに触れ、新たな気持ちで本を借りに足を向けてみよう。企画展は1月16日まで。休室日は12月6日と年末年始で、料金は無料である。(凡)

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