北欧 暮らしに根付くテキスタイル 「フィンレイソン展」(2021.10.16)

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10月9日から、京都文化博物館3・4階展示室にて、フィンレイソン社の創業200年を記念した日本初の展覧会が開催されている。フィンレイソンとは、1820年に創業した北欧フィンランド最古のテキスタイルブランドである。北欧の伝統的な図柄を取り入れながら寝具やカーテンといった日用の布製品の生地を制作し、フィンランドの家庭で長く愛されてきた。ポップな色のゾウが並んだデザインなどは日本でも広く知られている。

展示は二部構成となっている。第一部ではフィンレイソン社の歴史と会社が地域社会に果たした役割などを見つめ、第二部では、フィンレイソンで活躍した古今のデザイナーをそれぞれの作品とともに紹介しながら、ブランドの現在そして未来を構想する。会場には多種多様な布地や布デザインの原画が並び、それぞれの布に息づいたデザイナーの感性が作品としての重みと迫力を感じさせた。今回は、中でも印象に残った二つの展示を紹介したい。

一つ目は、アイニ・ヴァーリというデザイナーが制作したエプロン用の生地見本である。上半分には、ビビッドピンクの生地に紫のハートでボーダーが入り、下半分には、気取った黒のハットを被った2人組がテーブルに向き合う図柄が載っている。エプロンに使うにはあまりにメルヘンチックで派手なデザインにも見えるが、不思議と洗練された大人のポップさがあって見入ってしまう。エプロンという素朴な日用品に非日常的な魅力を与える、デザインの力を感じた。

もう一つ印象に残った展示は、「アヤトス(思考)」と題されたアヌ・サーリの作品である。一見するとシンプルで可愛らしいパンダの絵柄であるが、パンダたちは皆、ロダンの「考える人」よろしくあごに手をあてて、遠くを見つめるような姿勢をとっている。製作者は、このデザインを見る人に、人類が行っている環境破壊を自分のこととして受け止めて問題意識を持つことを求めているという。真っ黒な目をしたパンダが何を考えているのか、その表情は読み取れないが、人間の行いが環境に与える影響を憂いて考え続ける彼らの姿には妙な説得力があった。

本展示では、フィンレイソン社200年の歴史を通して、様々な時代における企業のあり方や企業が地域社会に果たす役割を知るとともに、日常に溢れた布という素材が持つデザインの媒体としての可能性を再確認することができる。開催期間は、来年1月10日まで。月曜、祝日の翌日、年末年始は休館になる。入場料は一般1500円、大学・高校生1100円、中学・小学生500円となっている。(桃)

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【あごに手を当てて考え込むパンダたち】

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