いかにして見えない星を観るか 京大天文教室オンラインセミナー(2020.11.01)

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10月9日、理学研究科の野上大作准教授による京大天文教室「せいめい望遠鏡で研究するブラックホール」が開催された。2018、19年と丸の内で開かれてきた本講義だが、今年はオンラインでの開催となった。

京大天文教室は、最先端の天文学の研究成果を分かりやすく伝えることを目的としている。全5回のうち5回目となる本講義は、ブラックホールの説明から始まった。ブラックホールは、物質だけでなく光すら抜け出せない重力を持つので、自身は光を放たない。しかし周囲の星やガス円盤に存在する物質がブラックホールに吸い込まれる際に、物質間の摩擦がエネルギーとなり、光を放出する。ブラックホールの周囲から光が発せられると、すぐ近くを通る光は吸い込まれ、ブラックホールが影のように浮かび上がる。このドーナツ状の光を捉えることで、ブラックホールを観測できる。

本講義の主役となるのは、京都大学が所有するせいめい望遠鏡だ。岡山県に設置されたこの望遠鏡は、直径3.8mの鏡を使った東アジア最大級の望遠鏡で、2019年2月から観測を始めている。この望遠鏡がブラックホールを観測するのだが、この装置では「ブラックホールの影」を観察することはできない。大気の揺らぎなどの影響で、ブラックホールからの光が一つの点になってしまうためだ。そこで野上氏が注目するのは、近接連星系ブラックホールと呼ばれるタイプの星から発される光だ。近接連星系ブラックホールとは、ブラックホールではない普通の星とブラックホールが、お互いの周りを回るものだ。ここから発せられる光は、数分ごと、早ければ数ミリ秒ごとに明るさが変化する。この光を見ることで、一夜にして劇的な変化を観測できるのだ。

その観測結果を分析する方法として野上氏は、分光観測という手法を取り上げた。光を波長ごとに分けてスペクトルを分析することで、天体の運動や温度、構成元素などを調べることができる。これにより、連星の発光のメカニズムを調べることができると期待されている。

しかし天体の観測には時の運も必要だ。実際、今回の天文教室までに実証したかった仮説があったが、適した観測結果が得られておらず、講義では話すことができなかったと野上氏は語る。来年度までに仮説を支持する証拠が得られれば、次回の天文教室で取り上げて話したいとのことだ。最後に野上氏は、せいめい望遠鏡は分光観測ができる上に、京大が自前で所有する望遠鏡なので、突発的な現象にも柔軟に対応できると説明し、「ブラックホールX線連星の研究には最強の望遠鏡だ」と締めくくり今後の研究に自信をのぞかせた。(三)

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