てくてく鴨川遡江記(2021.05.16)

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受験生の頃から鴨川への憧れを抱いていた京大生は少なくないだろう。そんなひとりである筆者は、山より高く海より深い鴨川への愛を昇華させるべく、鴨川をできる限り上流まで遡ってみることにした。本記事は、デルタから出発して高野川と賀茂川を別日程で歩いた、合わせて約5時間半の記録である。「てくてく」と表すには少々ハードだったものの、道中では豊かな自然を楽しむことができた。また、採石場や砂防ダムといった光景は、「京都」へのステレオタイプを離れた新しい発見となった。(田)

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①高野川編

デルタ〜修学院 のどかなスタート
午後4時半、意気揚々とデルタを出発。ここ数日は雨天が続いたにもかかわらず、川の水はきれいに澄んでいる。雲が多いものの、過ごしやすい気温で、ハイキング日和である。御蔭橋から高野のあたりでは、楽器を練習したり体を動かしたりする人もいた。左岸につつじの花が咲いており野鳥も見られた。左手に川をみながら、川端通を北上していく。

修学院〜宝ヶ池 第一の分岐点
北山通を越えると、川端通からは10分ほど川が見えなくなった。ガソリンスタンドや家々の向こう側に川が流れているはずだが、水音でその存在を確認しつつ、歩いて行く。叡電宝ヶ池駅のあたりで橋をわたり、右岸へ。水量は少なくなってきたように感じた。ここで川はふたつに分かれる。東側に行けば、八瀬比叡山口へ通じるが、今回は西側の岩倉川をたどって国際会館の方へ遡ることにした。

宝ヶ池〜国際会館 川を見失う
10分ほど宝ヶ池公園内を歩いた。自然の広がる公園内は、ボール遊びをする小学生で賑わっていた。後日調べてみると、岩倉川は公園内の数カ所で合流を繰り返している。清々しい自然を堪能しているうちに川を見失ってしまった。なんとか地下鉄国際会館駅の前のロータリーに出ることができたが、しばらく川を見ていない。ひとまず宝ヶ池通に出ると、再び交通量が増え、商店や飲食店が並んでいる。付近には「椿の道」という遊歩道があった。季節になれば、ここで蛍を見ることができるらしい。

国際会館〜叡電岩倉駅 水量減 ゴールは近い?
宝ヶ池通で岩倉川と再会を果たすと、すでに川幅はデルタの半分以下になっていた。川の東側には小中学校や運動場のあるあたりだ。ここで日が暮れ始めたが、川は順調に水量を減らしているので、ハイキングの終了もそれほど遠くないような気がする。叡電の岩倉駅が見えてきた。線路の下を川が通っているのだが、線路を越えるために一旦川岸を離れ、無人駅を東に迂回した。

叡電岩倉駅〜岩倉村松団地 迫る山、よぎる後悔
 岩倉駅の周囲には病院や商店の集まるやや賑やかなエリアがあり、それを超えると、瓦屋根の大きな一戸建てが多い。家々の間には畑も点在している。川沿いに家屋が並び、道に出るための小さな橋が家ごとに架かっている。山々が目の前に迫ってきているが、ここへ来て川幅や水量はほとんど変化しなくなった。どこまで遡ればよいのだろうか……。途中、堤防上の道と呼べるか怪しい道を通りながら、春の穏やかな午後をいったい何に費やしているのだろうかという気持ちが脳裏をよぎる。

権土池 第二の分岐点
川岸に続いていた住居が徐々に少なくなってきたが、川沿いに藤の花が咲いている。予想外の美しい光景にほっこりしていると、ここで再び川がふたつに分岐した。岩倉川を追うならば東へ遡るべきだが、そのためには来た道を少々戻らねばならない。日没が迫っているので、進路を西にとった。ここで家屋は完全に消え、川と林に挟まれた一本道をひたすら歩くことに。数分進むと、大きなため池が現れた。昼間なら水面に山が映って美しいだろうが、この時点でほとんど日は暮れていた。光量の少なさ故に撮影に苦労しつつ、登り道を急ぐ。

佛教大学岩倉キャンパス あっさりとしたラスト
ここからは、川沿いの一本道をたどるだけであった。とはいえ、道は急勾配で、あたりはどんどん暗くなっていく。すぐ近くに毘沙門天をまつるお堂があるようだが、当然スルーして佛教大学岩倉キャンパスの目の前へ。ここで、この遡上ハイキングは突然終了した。川はまだそこそこの水量を保っているのだが、「通り抜けできません」の看板が現れ、チェーンが行く手を遮る先は未舗装の道である。あっさりと終わってしまったものの、拍子抜けの気持ちより喜びが勝った。

②加茂川編

デルタ〜上賀茂 好調なすべりだし
この日は、最高気温が24度の快晴だったためか、河川敷では多くの人がランニングや散歩を楽しんでいた。右岸を北へ歩き始めたのだが、賀茂川沿いはかなり北まで河川敷を歩くことができる。途中、府立植物園のあたりは特に新緑が美しく、春先には桜の名所にもなるので、川辺を散歩したい人にはもってこいのスポットだ。MKボウルのあたりで一度河原の歩道が途切れた。

上賀茂〜十三石橋 貴船を目指して
さらに10分ほど歩くと、柊野堰堤という砂防ダムが現れる。この堰堤を越えて上流に行くと一気に水量が減り、川幅も狭くなる。このあたりには複数の運動場があり、とにかく新緑が目に鮮やかではあるが、風景はかわり映えせず、少々退屈だ。ここで川の合流するところ、つまり今日最初の分岐点があった。西に進めば雲ヶ畑、東に進めば貴船方面である。春の休日にぴったりな響きに惹かれて、貴船を目指し、十三石橋を渡って東へ進む。橋からは見事な藤の花を見ることができた。川の名称は鞍馬川となる。

十三石橋〜市原 細心の注意で川を追う
このさき、川を追うのは一苦労だった。川は道路のはるか下を流れているため、気づくと川からずっと離れた場所にいることもあった。スマホの地図アプリは大いに役立ったが、住宅街では川から複雑に水路を引いていることもしばしばで、それらを本流だと勘違いしないよう注意しなければならない。川沿いに道路がない場合は、ときに道なき道を通って川がそこに流れていることを確かめる労力も必要である。そうこうしているうちに通行量が増え、市原の街にでた。叡電市原駅付近で、川の上に車両が通りかかる写真を撮るべくカメラを構えて待機したが、便数削減のためか、アプリの示す時間通りに電車が通らない。諦めて、再び貴船を目指した。

市原駅〜静原川 痛恨のミス
市原駅から500㍍ほど北に、静原川が鞍馬川に合流する地点がある。ここで鞍馬川に沿って北上すれば貴船に着くだろうと考えていたが、この合流地点を見逃したことに気づいたのは1㌔ほど通り過ぎた後だった。すでに出発から2時間半が経過し、後に戻る気力は無い。泣く泣く、静原川に沿って国道40号線を歩くことにした。

静市野中町 つつじ、つつじ、つつじ……
国道を進みはじめてすぐ、採石場が現れた。その周囲はつつじの生け垣で囲われている。歩けど歩けどつつじが続く。付近には砕石工場や生コンクリート工場などがあり、建築資材の生産が盛んなようだった。静原川は、細い流れになっている。

老人ホーム「しずはうす」 川よ、細くなれ
国道を歩いていると、途中で歩道がなくなってしまった。本当はここで帰りたかったのだが、この先も歩けないわけではないので、車に注意して歩を進める。すると、川の勢いが徐々に増し始めた。引き返すタイミングを完全に逸したことに気づき、絶望する。川が細くなるよう念じながらさらに1㌔ほど歩くと、大きな老人ホームと田畑が現れ、視界が開けた。ここで、川は畑の真ん中を通る農業用水路に姿を変えた。道路から直接見ることはほとんどできないので、半ば強引に、これで遡上ハイキングの完結とした。

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