長野と三重の白タヌキは親戚 霊長類研 アルビノ遺伝子拡散を初確認(2021.04.16)

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古賀章彦・霊長類研究所教授らの研究グループは3月6日、長野県と三重県でそれぞれ発見された白タヌキの体色変異の原因を、遺伝子解析によって明らかにしたとする研究成果を発表した。それぞれの個体は親戚であると推測され、生存に不利とされるアルビノ遺伝子が哺乳類において広域拡散した初事例となった。

研究グループは、長野県で捕獲された白タヌキの糞便からDNAを抽出し、チロシナーゼ遺伝子の主な領域5カ所をPCR法で増幅した。通常の体色のタヌキの増幅結果と比べると、白タヌキでは領域3がないことが分かったという。また、塩基配列を詳しく調べたところ、チロシナーゼにおいて銅イオンの保持に必要なアミノ酸が消失していたという。チロシナーゼは、メラニン(黒色素)を作る酵素であり、内部に銅イオンがないと正常に働かないとされる。白タヌキでは、この酵素が機能を失っているために、体色が白色になったと推測できるという。

また、長野県で捕獲された個体とは別に、白タヌキが三重県で発見された。三重県の個体の体色変異について、研究グループがPCR法による増幅や塩基配列の解析を行ったところ、長野県の白タヌキと同様の結果となったという。これらの体色変異は数回の遺伝子変異が蓄積した結果であり、両個体の体色変異が別個に生じた可能性は低いため、両個体は親戚であると推測できるという。

メラニンが合成できず体色が白色になる個体を、アルビノと呼ぶ。アルビノ個体は一般に紫外線からの防護が不十分で癌になりやすく、体色が目立ち捕食者に見つかりやすいため、生存に不利であるとされる。今回、直線距離で約170kmある長野県と三重県で親戚の個体が見つかり、哺乳類において、アルビノ遺伝子の広域拡散が初めて観察された。研究グループは、原因遺伝子がどこで生じたかは不明だとしたうえで、その遺伝子が子孫に受け継がれながら長距離を移動したことが分かったとした。本来生存に不利なアルビノ遺伝子が、タヌキで長期間維持されたことについて研究グループは、タヌキが都市の環境に適応したとする仮説を唱えた。残飯を食料にし、排水溝をねぐらとして利用することで、タヌキ個体間の生存競争が緩み、アルビノ遺伝子の不利の程度が軽減したと考えられるという。この研究成果は、国際学術誌「Genes & Genetic Systems」にオンライン掲載された。

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