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チンパンジーが獲物を横取り 理学研 世界で初めて観察

2019.06.01

中村美知夫・理学研究科准教授らの研究グループは4月16日、チンパンジーがヒョウの獲物を手に入れて食べるところを、世界で初めて観察したと発表した。ヒトとチンパンジーの共通祖先が、獲物の横取りをする能力を有していた可能性が出てきた。

今回の調査は、タンザニアのマハレにある調査地で実施された。中村准教授によると、チンパンジーに同じ個体を一日中追い続ける個体追跡法をしている際に、複数のチンパンジーが、ヒョウによって殺されたと考えられる屍肉をあさっているのを偶然観察したという。周辺ではヒョウが目撃されたほか、チンパンジーが発する警戒音が観察されたことから、獲物を殺したヒョウが、しばらくの間近くに居続けたと考えられる。その後研究グループは、屍肉を回収し、マハレの調査地で40年ほどにわたって蓄積されている、チンパンジーが屍肉に遭遇したときのデータをまとめ、論文を発表した。

中村准教授は今後の展望について、チンパンジーとヒョウの関係を、捕食被食関係にとどまらないより深いところまで観察していきたいとしている。

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