再生可能エネルギーは本当に高価なのか 京大経済学教室オンラインセミナー(2020.12.01)

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11月4日、「京大経済学教室」の第2回セミナーが開催され、京都大学大学院経済学研究科の安田陽特任教授が「再生可能エネルギーはなぜ世界で大量導入が進むのか?~リスクマネジメントの観点から地球環境を考える~」というテーマで講演した。京大経済学教室は、京大の子会社「京大オリジナル」が今年から始めたイベントで、今回は「『環境』と『経済』の関係~その変容と方向性~」をテーマにオンラインで開催された。

最初に、安田氏は、日本と世界の再生可能エネルギーに対する認識の違いを指摘した。日本では、再生可能エネルギーは実用性の低いものであると考えられる傾向がある一方、世界では順調に導入が進んでいるという。加えて、日本も批准するパリ協定は再生可能エネルギーの導入を前提として気温上昇の抑制目標が立てられているという。安田氏は、環境省によるデータなどを示しつつ日本でも再生可能エネルギー、特に風力発電が電源として大きな役割を果たせることを指摘した。

次に、なぜ世界では再生可能エネルギーの導入が進むのかについて解説した。風力発電などの再生可能エネルギーを利用した発電方式は、火力発電や原子力発電などに比べ「負の外部性」が小さいと考えられている。負の外部性とは、健康被害や気候変動といった市場の外にもたらされるコストのことである。再生可能エネルギーを利用した発電はその外部性の小ささという大きな便益のために、世界で導入が進んでいると安田氏は指摘した。他方、日本においては再生可能エネルギーの導入にかかる一時的なコストばかりが強調され、外部コストが大きい従来電源を再生可能エネルギーで置き換えることによる便益が十分に語られていないと指摘した。安田氏は、再生可能エネルギーの利用の便益を客観的に判断して、日本でも導入を進めていくべきだと主張した。

そして、安田氏は講義を通して幾度となく、科学的、批判的な思考に基づいて判断を下していくことの重要性を説いた。特に、日本語メディアだけではなく、英語などの原文資料を読んで、自ら判断することの重要性に言及した。また、スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリさんの発言を引用して、科学的なファクトを軽視する姿勢を批判した。再生可能エネルギーの導入という問題にとどまらず、日本に住む人がとるべき知的態度や科学論といった内容にも踏み込んだ、これからの時代への示唆に富む講義であった。(上)

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