見えないこころを見るために 春秋講義「こころのカタチ」(2020.10.16)

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10月1日より、「こころのカタチ」をテーマとした春秋講義のオンデマンド配信が開始された。今回は、人間・環境学研究科の船曳康子教授による第一講義、教育学研究科の楠見孝教授による第二講義が配信されている。

船曳氏は「発達障害の実体は何だろう」と題し、自身が専門とする発達障害の研究成果をもとに、人間のこころを考察し可視化することを試みた。発達障害は、「コミュニケーションが苦手」など行動面に表れる特徴に着目した上で、さまざまな心理検査も活用しながら診断されることを述べた。さらに、同じ診断名をもつ患者でも、表れる特徴は個人によって異なることに注意を促す。その多様性を可視化するために、氏は行動の特徴をレーダーチャートに表す方法を開発したという。また、その多様な特性の根本は非柔軟性、すなわち急な変化に対応することが困難な性質にあると説明。その根本的な特性を理解したうえで、メンタルヘルスの悪化など、二次的に起こる症状の改善を目指す必要があると述べた。

楠見氏は「なつかしさの心理学―こころの時間旅行―」と題し、「なつかしい」という記憶の想起とこころの関係を解説した。そもそも「なつかしい」とは、過去の記憶を想起した際に起こる感情で、しばしば幸福感や甘酸っぱい感覚を伴う。氏は質問紙調査などをもとに、「なつかしい」気持ちを引き起こすものとして、昔通った学校や流行歌など過去に頻繁に接触していて、しばらく空白期間がある対象という、自身の体験に基づく要素のほか、セピア色や田舎の風景などの文化的要素を挙げた。また、なつかしさは、過去の辛い記憶を前向きなものにするなど、ポジティブな機能を持つと説明する。この働きが、ふるさとや昔の遊びなどについて語り合い、社会的絆を確認する「回想法」を可能にし、高齢者支援に利用されていると述べる。ほかにも歴史的建造物の保存による町おこしにもつながっているという。

春秋講義は、京都大学が蓄積した研究成果を一般の市民と共有するため、毎年春と秋に開講されている。新型コロナウイルスの影響によりオンライン開催となった今回の講義は、12月23日まで申し込みを受け付けており、同月25日まで公開予定である。(凡)

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