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京大一般入試 出題範囲変更せず 新型コロナ対応巡り

2020.08.01

京大は7月30日、2021年の一般入試における個別試験について、出題範囲を変更しないと発表した。文部科学省が各大学に対し、新型コロナウイルス感染症の流行に伴う高校生の学習の遅れに配慮し、個別試験における対応を公表するよう要請していた。

京大は、個別試験の出題範囲の変更は行わないと発表した一方で、高校の教科書に発展的内容として掲載されている事項を題材とする場合、設問中に説明を加えるなどの配慮を行うとした。京大は本紙の取材に対し、「京大の個別試験で評価する学習能力は、高校の教育課程全般を通じて培われてくるものだと考えており、試験問題は多角的な題材から出題することにしている」とした。そのため、題材の範囲を限定せずに、受験者の学習能力を評価することにしたと説明した。試験日程の配慮については、新型コロナウイルス感染症に罹患した入学志願者の受験機会を確保するため、2月25、26日の一般入試前期日程の追試験を、3月22、23日に実施する予定であるとした。

背景には、文部科学省が6月19日、各国公私立大学長に対し、大学入学者選抜実施要項を通知し、高校生の学習の遅れに配慮するよう要請したことがある。具体的には、高校3年で履修することが多い数学Ⅲや理科、社会の個別試験において、解答する問題を選択できるようにする、教科書において発展的内容と記載されている内容から出題しない、発展的内容を出題する場合は設問中に補足事項を記載するといったことを求めていた。こういった措置は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた特定の入学志願者が不利にならないようにするためである。

文部科学省の要請を受けて、各大学の対応は大きく分かれた。京大や東京大学、福島大学のように出題範囲を変更しない大学もある一方で、秋田大学や関西学院大学のように発展的な内容は出さないとした大学もあった。横浜国立大学は、個別試験を実施しないことを決定した。



8月16日12時30分配信
8月27日20時30分更新

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