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宇宙へ… JAXAと提携 人文・社会科学も

2008.05.01

京都大学と独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA、東京都調布市)は、宇宙に関する研究・教育で総合的に協力する協定を締結、4月21日京都大学で調印式が行われた。多くの研究者を擁する京大が基礎から応用に至る総合的・学際的研究を推進し、JAXAが実プロジェクトとして結実する。両者で共同して未知なる宇宙に挑戦していく。

京大は今年4月、宇宙工学など部局を超えて分野横断的研究を推進する組織「宇宙総合研究ユニット」(ユニット長小山勝二・理学研究科教授)を設置するなど、宇宙関連研究を積極的に行っていくための体制づくりを進めている。一方のJAXAは研究・教育活動と同時に、衛星の打ち上げをはじめとする具体的なプロジェクトを実施し、日本中の研究者を巻き込んで宇宙開発事業を一元的に受け持っている。すでに研究者レベルでは京大とJAXAは緊密な連携関係にあった。

以上のような経緯があって今回の提携は実現した。調印式に臨み、尾池総長が「宇宙飛行士の土井さんなどの活躍を見ていると人類の生存圏の拡大を感じている。今後多くの課題に立ち向かう際には研究の下地がある京大が大きな力になれると思う」と挨拶をすると、立川敬二・JAXA理事長は「JAXAだけではまったく未開拓といっていい宇宙のすべてはカバーできない。京大の総合力を借り、互いに新しい分野に挑戦していきたい」と答えた。

一番の目的を「学際的・融合的研究」とし、宇宙理工学から「宇宙法」「宇宙文明論」といった人文・社会科学までを含めた研究協力を目指す。宇宙総合研究ユニットが窓口となり、多様な分野での共同研究の方法を模索する。また、同ユニットに寄付講座のかたちで「JAXA講座」を設置し、学内外に向けた宇宙教育活動の実施も検討する。今後は両者の代表からなる連絡協議会でさらに具体的な提携協力を考えていくとしている。

JAXAと大学との協定締結は東北大、東京大に次ぐ三例目。松本紘・副学長は「特定の研究分野に限定することなく、全学を挙げて総合連携に臨んだのは京大が初めて」であることを強調、より緊密に連携し大学での研究を宇宙という文脈に乗せていくことに強い意欲を示した。

《本紙に写真掲載》