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原告 改めて返還を要求 琉球遺骨返還訴訟第3回

2019.09.16

京大が保有する琉球民族の遺骨の返還を求める訴訟の第3回弁論が8月30日、京都地裁で開かれた。原告側の弁護士は、憲法13条を根拠に返還請求の妥当性を主張した。また、原告の1人の金城實さんが陳述し、遺骨の返還を京大に改めて求めた。

訴訟は、沖縄県今帰仁村の百按司墓から、1929年に金関丈夫・京都帝国大学助教授が持ち出した遺骨について、原告が返還と損害賠償を求めて昨年12月に提起した。京大は2017年に26体の遺骨を保有していることを認めており、墓に埋葬されていた王家・第一尚氏の子孫や松島泰勝・龍谷大教授ら原告5名が、その違法性を訴えている。

今回の口頭弁論では、原告側から弁護団3名と金城さんら5名、大学側からは弁護士のほか総務部法務室職員2名が出席した。傍聴は先着順で受け付けられ、定員87席が約10分で満席となった。はじめに、原告側の代理人の弁護士が、今年5月に開かれた第2回弁論で京大が提出した答弁書への見解を示した。被告京大は「原告の請求の根拠は不明確」と指摘していたが、これについて原告側の弁護士は、今回の弁論で、憲法13条に基づき文化享有権が認められると主張し、少数民族の権利が認められた判例を示した。このほか、原告が被告京大に対して遺骨の閲覧を申請したところ、「遺骨は存在しない」と虚偽の説明をするなどしたと指摘し、遺骨の盗掘と併せて不法行為だと主張した。
弁護士による陳述の後、原告の金城さんが約10分間の意見陳述を行った。陳述の中で金城さんは、洗骨の習慣や死生観について紹介して琉球における遺骨の重要性を述べるとともに、「遺骨について軽々しく考えている」と京大を批判した。

裁判終了後、原告は報告集会を開き、約100名がこれに参加した。次回口頭弁論は11月29日14時から行われる。

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