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遺骨問題 京大 抗議書受領拒否 アイヌ・琉球・奄美 共同で提出

2019.09.16

京都帝国大学の教員が盗掘した遺骨を保有しているとして、アイヌ民族・琉球民族・奄美人が京大に返還と謝罪を求めている問題で、「京大・アイヌ民族遺骨問題の真相を究明し責任を追及する会」(以下、「追及する会」)や「琉球民族遺骨返還研究会」などが連名で抗議書を作成し、8月23日、京大を訪れて提出したところ、職員は受け取りを拒否した。26日、連名での抗議を呼びかけた団体が抗議書を大学に郵送したが、9月16日現在、京大からの回答はないという。

遺骨問題を巡っては、京都帝大教員の清野謙次や金関丈夫、三宅宗悦らが、アイヌ民族・琉球民族・奄美人の遺骨を墓から持ち出し、現在も京大で100体以上が保管されていることが分かっている。これについて、2013年以降、「追及する会」や「京都大学収蔵の遺骨返還を求める奄美三島連絡協議会」などの団体が、遺骨の返還や謝罪などを求めてきた。今回、「追及する会」の呼びかけで、8団体と2個人が連名で抗議書を作成し、抗議行動を実施するに至った。抗議書の中で、大学による遺骨の持ち出しを「深刻な人権侵害」と批判しているほか、大学が遺骨の保有状況などの問い合わせに応じなかったことを挙げ、「不誠実な態度」と指摘し、謝罪と遺骨の返還を求めた。

8月23日、各団体の会員や関心を持った市民ら約30名が総合博物館を訪れ、抗議書の提出を試みたが、受付の職員がこれを受理しなかった。その後、取り次ぎを受けた博物館事務長が対応したが、「本部の方針」として手渡しでの受け取りを拒否し、郵送を求めた。「追及する会」は、2013年以降、複数回に渡り大学宛で郵送した申入書が未開封で返送された経緯があるため、今回の書類の開封と、宛先としている総合博物館の永益英敏館長および山極寿一総長への取り次ぎを約束するよう求めた。しかし、事務長は「開封するかどうかも含めて検討する。私が決めることはできない」と説明した。「追及する会」会員らは、抗議のシュプレヒコールを上げ、本部棟前へ移動した。抗議書の提出に来た旨を入口の守衛に伝えると、職員が外に出てきたが、「担当者が不在」と説明し、受理を拒否して郵送を求めた。

そこで「追及する会」は、26日、総合博物館と総務部それぞれに書類を郵送した。「追及する会」によると、9月16日現在、京大からの回答はないという。京大は、本紙の取材に対し、「総長および総合博物館館長に取り次いだ」と説明し、今後の対応については、「精査に時間を要するため、個別の要望に応じることは難しい」とした。

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