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改元休日による減給回避措置取らず 京大 政府要請に対応せず

2019.07.01

改元による休日増加に伴う時間雇用教職員の減収について、京大当局が回避措置を取らなかったことが判明した。職員組合は今年3月から、回避措置を取るよう求めてきたが、5月22日に開かれた組合との団体交渉において森田正信・総務担当理事は、改めて特段の措置を講じない姿勢を示した。改元休日による労働者の減収については、今年3月に政府から各事業者に宛てて、適切な配慮をするよう通知が出ていたにもかかわらず、京大当局は対応しなかった。

今年は、5月1日が「天皇即位」に関する休日に定められ、祝日法により4月30日と5月2日も祝日となった。この休日を定める法律が昨年12月に国会で可決された際には、休日増加による時間給労働者の収入減少に各事業主が対応するよう求める旨を盛り込んだ付帯決議が衆参両院でなされた。これに基づいて政府は今年3月、労働者に適切な配慮をするよう雇用主に求める通知を出した。

また、京大職組は3月、祝日増加に伴い、時間雇用教職員など時間給や日給で勤務する非常勤職員の収入が減少することの回避措置を講じるよう、総長に申し入れた。京大には現在、約3500人が時間雇用教職員として勤務していることから、組合は、この問題を「看過できない」と申し入れに至った。

しかし、申し入れ後も京大当局は回避措置を取らなかった。このため、職組は5月22日に開かれた団体交渉で、その理由を追及した。職組によると、交渉に出席した森田理事は、通知を出している内閣府・厚労省の非常勤職員においても特段の措置は講じられていないことや、他の国立大学でも措置が取られていないことを説明したほか、衆参の付帯決議や政府通知など全体を踏まえて京大として判断し、措置を取らないことに決めたと述べた。また、「非常勤職員の勤務の要する日は予め契約の段階で示し合意の上で勤務していただいている。事後的にそれを修正することは困難だ」と主張したという。この発言について職組は、法律で定められた、契約内容を変更しうる手段としての団体交渉を否定するものだと反論している。

京大当局は、これまでの対応を変更しないとしている。組合は、「天皇即位」に関する祝日は10月22日にもあることから、減収回避措置を再度検討するよう求めている。