吉田寮訴訟 「権利守るため闘う」寮生が陳述 第1回弁論(2019.07.16)

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京大が吉田寮現棟の明け渡しを求めて寮生を提訴した問題で、7月4日、第1回口頭弁論が京都地裁で開かれた。寮生が意見陳述を行い、「学ぶ権利を守るために訴訟を闘う」とし、請求の棄却を求めた。第2回口頭弁論は、10月7日、京都地裁で行われる。

裁判には、寮生側から寮生と弁護団の計19人、大学側からは代理人の弁護士4人が出席した。双方の提出書類の確認後、代表の寮生が意見陳述を行った。陳述の中で寮生は、今回の京大による提訴を「強権の発動だ」と批判したほか、京大が現棟の老朽化を理由に退去するよう求めていることについて、「寮生から示した改修プランに対案も出さず、3年以上に渡り放置している理事の姿勢こそが、老朽化対策を遅延させている」と指摘した。また、京大が吉田寮に「適切な管理を行う」と表明していることについて、「大学が管理すれば、寮生の実態とかけ離れた運営が行われ、福利厚生の質が損なわれる」と述べた。女子寮において建て替え後に大学が寄宿料を大幅に値上げしたことなどを例に挙げ、経済的な事情を考慮して広く学生を受け入れてきた吉田寮の運営体制を維持することが、「学ぶ権利を守るため」になるとした。これらをふまえ、今回の訴訟を、現棟の明け渡しにとどまらず「学生の権利、主体性を認めるかどうか」を争うものと位置付け、「吉田寮を未来につなげるためにこの訴訟を闘う」と表明した。寮生が陳述を終えると、傍聴席から拍手が起こった。

訴状の中で京大は、▼在寮にあたっての契約は存在せず、寮生は現棟の占有権限を持たない▼契約があるとしても、建物を所有する大学側の裁量は大きく、倒壊の危険性を考慮して契約を解除できると主張し、食堂棟を含む現棟の明け渡しを要求している。また、仮執行宣言の執行も求めており、これが認められれば、仮に明け渡しを命じる判決が出た場合、寮生が控訴して裁判を継続することになっても、一審判決後に明け渡しの執行が命じられることになる。

京大の主張をふまえ、寮生の代理人の弁護士は、寮生による陳述に続いて、求釈明事項として6点を今後の裁判において説明するよう京大に求めた。その内容は、▼寮生の不法占有とする場合、これまで月400円の寄宿料をどのような位置付けで徴収してきたのか▼京都大学学生寄宿舎規程を主張の根拠とすることが法的に妥当か▼在寮に関する契約の詳細はどのように定められているのか▼寮自治会を法的主体として認めるのか▼建物の所有権を直接的に示す根拠があるのか▼食堂棟にも現棟と同じ内容の請求を行うのかの6点だ。

裁判後、寮生側が会見を開いた。代理人の弁護士は、今後、6つの求釈明事項のほか、寮生との間で結ばれてきた確約書に対する大学側の認識などを確認し、請求の棄却を求めていくとした。その上で、寮生の代表は、「訴訟での決着は最善ではない」と述べ、訴訟を取り下げて交渉に応じるよう当局に改めて求めた。第2回口頭弁論は、10月7日15時から、京都地裁で行われる。

多くの傍聴希望者 集まる

 
裁判当日、京都地裁入り口前では、開廷の約1時間前から抽選用の整理券が配布された。78人の傍聴席に対し、200人を超える傍聴希望者が列を作った。閉廷後、吉田寮自治会が京都教育文化センターで集会を開き、傍聴できなかった市民ら100人以上がこれに参加した。寮生が裁判の様子を報告したほか、アジア・アフリカ地域研究研究科の木村大治教授や文学研究科の高島航准教授が登壇した。

同日の夜には、寮自治会が学内で集会を開催し、これにも100人以上が集まった。吉田寮だけでなく、731部隊軍医将校の論文や11月祭を巡る大学当局の対応について、人間環境学研究科の松本卓也准教授や学生らが登壇して問題点を指摘した。松本教授は、「学生自治を破壊しようとしている」と当局を批判し、「連帯の輪を広げよう」と呼びかけた。

訴訟を前に教員有志が声明

第1回口頭弁論を前に、7月1日、教育学研究科の駒込武教授や人間環境学研究科の酒井敏教授ら教員有志が、訴訟の取り下げなどを求める要求書と、賛同する教員の名簿を京大に提出した。

駒込教授らは、4月24日に、寮生と対話するよう求める要求書を大学に提出している。今回、訴訟を前に6月下旬から教員に呼びかけたところ、67人の賛同が得られたという。なお、裁判終了まで呼びかけを続けるとしている。提出後、有志は会見を行い、駒込教授は「確約書での合意に従わないとしている当局からの退去勧告に、寮生が従えないのは当然だ」と述べた。また、駒込教授は、山極寿一総長に対し、5月に続き2回目の懇談の場を設けるよう求めたことを明かした。懇談について京大は、本紙の取材に対し、「実施する予定はない」と回答している。


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