文化

生協ベストセラー 『学生のための一人前!レシピ』

2008.04.16

新生活応援読本という言葉から、一人暮らしを始めた新入生らが、料理の参考に、と買い漁ったのかと一瞬思ったが、考えてみればこれは3月のランキングであって、新入生が売上にそこまで影響を及ぼしたかどうかについては甚だ疑問が残る。とすれば、あまりにも長い春休みのささやかな暇つぶしに料理でもと、あるいは新年度からは自炊をしようと心に決めた上回生らが買い求めたものかと考えられる。そのうち何冊かは既にほこりをかぶっているかも分からないが…新入生のみんなは3日坊主に終わらないよう気をつけよう。

さて、この本では、「卵」「豆」「魚」「肉」「野菜」「ご飯・麺」「仲間とわいわいメニュー」の7つのカテゴリーに分けて、全70のメニューの材料と作り方を簡単に説明している。基本的に1ページにつき1つないし2つのメニューが紹介されており、ページの半分を占める各料理の写真が食欲をそそる。

調理法などについての基本的な説明だけでなく、調理の際のアレンジ方法のほか、保存の仕方やレンジの賢い使い方など、一人暮らしに役立つまめ知識も豊富に取り揃えており、帯にある「下宿生必読」という言葉も強ちただの宣伝文句ではないようだ。

さらに、「豆腐が余ったらP11へ」というように、材料が余ったときの活用までおさえている。さすが、大学生の街・京都に根ざした出版社、といったところだ。

ただ、レシピがすべて一人用なのは少しさびしい。これからは1人で生きていかねばならぬことを否応無しに思い知らされているかのようだ。その現実を直視するのも必要だけれども、さびしくなったらサークルBOXで鍋でも囲みましょう。(義)

《本紙に写真・表掲載》