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京大当局 吉田寮現棟を立入禁止へ 新棟からの退去要求は条件付きで撤回

2019.02.16

吉田寮を巡り、2月12日、京大当局は新たに二つの文書を発表し、現棟に居住する寮生に改めて退去を命じ、現棟とその周辺を立ち入り禁止とすることを通告した。また、吉田寮に残っている寮生に対し、大学の示した条件を受け入れれば新棟からの退去は求めないと発表した。現棟の老朽化対策や今後の寮の運営については、大学の示した条件を受け入れた寮生と話し合って決めるという。

今回発表した「吉田寮の今後のあり方について」の中で京大は、大学の斡旋する代替宿舎等に転居していない寮生に対し、▼氏名・所属・居室を大学に示す▼入寮募集を行わない▼現棟に立ち入らないなどの条件を受け入れれば、新棟からの退去は求めないと表明した。これまで京大当局は、2017年に発表した「吉田寮生の安全確保についての基本方針(以下、「基本方針」)」に基づき、現棟だけでなく新棟からも退去するよう寮生に求めていた。「基本方針」で示した意向を部分的に変更した理由について、川添理事は、2月12日に開いた記者会見で、京都地裁による仮処分後も寮自治会が大学の求める対応を行わず、「我々から提案せざるを得ない」と判断したためと説明した。なお、当局が同日付で発表した「現在吉田寮に居住する者へ」によると、前述の条件を受け入れた寮生は、希望すれば「基本方針」に基づいて大学の斡旋する代替宿舎に入居できるという。

現棟への立ち入り禁止の通告について、川添理事は会見で、フェンスを設置するなど物理的な規制を行う予定は現時点でないと説明した。なお、寮生が退去した後の現棟には、「建築物としての歴史的経緯に配慮」して老朽化対策を行うと文書の中で表明している。ただし、現時点では、寄宿舎として提供する方針以外は未定で、建て替えの可能性も排除していないという。今後の方針の詳細は、学内の意見を聞きつつ、文書で示した条件を受け入れた寮生と話し合うとしている。

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