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奄美遺骨 保管箱の廃棄を確認できず 質問状に京大が回答

2019.01.16

京都帝國大学(現在の京都大学)の教授らによって奄美群島から持ち出された遺骨が返還されていない問題で、2014年の11月に遺骨保管箱の一部とみられる板が京都大学のごみ集積所で発見されたという報道を受けて「京都大収蔵の遺骨の返還を求める奄美三島連絡協議会(以下、協議会)」は昨年11月に京大に対して問題発生の経緯等を問う質問状を提出した。それに対して京大が12月に回答していたことが取材で明らかになった。

奄美群島から持ち出された遺骨は、京都帝國大学医学部の教授であった清野謙次氏(1885~1955年)、及びその門下生らが収集し、大学に寄贈したとされている。協議会によると収集された遺骨は約260人分にのぼるという。

大学のごみ集積所で保管箱の一部とされる板が発見されたという報道を受けて、協議会の大津幸夫代表は「祖先の遺骨にかかわる収納箱をゴミ扱いされたことに怒りを覚える」との談話を発表。併せて廃棄された経緯と保管されていたとされる遺骨の所在を問う質問状を京大に提出した。大学は12月4日付で質問に回答し、その中で1994年に保管箱を交換し、遺骨を新たな保管箱に移動させたこと、現在は総合博物館の収蔵庫にて保管していることを明かした。一方で、2014年に遺骨保管箱の一部をゴミ集積所に廃棄した事実は確認できなかったと回答した。

遺骨保管箱の一部とされる板は、京都大学構内のごみ集積所にて同大学の学生により発見された後、北海道や沖縄から持ち出された遺骨の返還を求める団体によって保管された。そして昨年の12月の中旬に同団体から協議会に引き渡された。遺骨保管箱の一部とされる板には「清野蒐集人骨」「大隅國大島郡喜界村赤連ダンムチノ下」と記載されていた他、遺骨4体分の番号とみられる漢数字もみられた。

協議会の今後の働きかけとして事務局の原井一郎氏は、大学に対して「実際に立会による見聞、奄美人遺骨の現状への説明、返還について話し合いを求めたい」としている。加えて、「松島教授(龍谷大学)による琉球人遺骨の返還訴訟を見守りつつ、アイヌ団体の政府交渉にも組み入れてもらい、あくまで返還を求める運動を拡大していきたいと思っている」と述べた。

協議会は質問状の他に「京都大学収蔵の奄美人遺骨の返還を求める要求書」を昨年の5月に京都大学の山極寿一学長と林文部科学大臣宛に提出しているが、1月12日現在も双方からの返答はないという。

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