文化

被災者を救う「ひとり」の力 災害ボランティア体験記

2018.08.01

7月初旬、全国各地は豪雨災害に見舞われた。京都府でも特に北部を中心として、多くの方々が自宅の浸水などの甚大な被害を受けた。記者は豪雨1週間後の7月13日、京都府福知山市の災害復旧ボランティアに参加した。福知山市を含む京都府北部など比較的被害の少なかった地域では、8月1日現在復旧作業は収束に向かっているが、岡山県や広島県などではまだ復旧作業は続いており、これから自分に何ができるかを考えている方もいるだろう。この場でボランティア活動の経験を報告することで、少しでも活動に携わる方が増えてくれたら幸いである。



7月13日のちょうどその朝に運転が再開した在来線のJR山陰線に乗車し、駅から徒歩30分程度離れたボランティアセンターに午前10時頃に到着した。社会福祉協議会の職員の指示に従い、300円のボランティア保険に加入し、必要な手続きを済ませる。その後、10人くらいのグループに入って、バスで現場に向かった。

今回担当した民家は、近くに流れている小川が氾濫したせいで1階部分が床上まで浸水してしまったそうだ。住んでいたのは87歳の女性1人で、4年前の記録的豪雨による被害よりもひどいと吐露していた。実際、1階部分はほぼ全滅で、床板がすべてはがされて、家財道具一式も取り払われていた。幸いなことに2階部分は無事で、水が入り込んできた際は上で待機していて助かったという。現在は、被害のなかった、近くに住む次男の家に身を寄せているそうだ。

作業は、家の隣にある納屋や倉庫をきれいにすることだ。浸水によって入り込んだ泥をバケツリレーや一輪車を使ってひたすらに運び出していった。米の籾殻が一帯に散らばっていたこともあって、ハエが飛び交い、まるで昆虫を飼っているかのような異臭が漂う。泥は水をたくさん含んでいて重く、何個かのバケツが重みで割れてしまうほどであった。その日は最高気温35度ほどで比較的涼しい猛暑日だったが、やはり外で作業するにはしんどかった。そのため、約15分の活動につき10分ほど休憩をとって、こまめに水分補給をした。記者を含めて、災害復旧ボランティアに参加するのが初めての方も何人かいたが、全員が最後まで無理なく作業することができて、午後2時過ぎには終了した。

今回担当した民家は継続支援の対象となっていて、今回2つの納屋、倉庫をきれいにするだけでも10人で半日を費やした。その人数と時間でこれほどの働きしかできないのか、というのが正直な印象である。それならば、すべての被災者の家の泥撤去作業を終わらせるのは相当な時間と人員が必要なはずだ。しかし、1人の力は小さいが、1人でも多くの人が力と知恵を合わせて取り組めば、早急に復旧が進むとも感じた。実際に今回は女性の方も懸命に力仕事をしてくださったし、滋賀県東部や富山県からも支援に来られた方がいた。また、自分のところが一段落したからと、この民家を助けに来てくれた地元の方もいらっしゃった。そのような熱意ある一人ひとりの働きが輝いていたように感じられた。

8月1日現在、京都府北部のほとんどの被災した家は必要が満たされて、7月下旬には災害復旧ボランティアの受付は終了した。しかし、岡山県および広島県などの甚大な損害を被った地域においては、現在も災害復旧ボランティアを受け付けている。この夏、時間と資金に余裕のある方はぜひ活動してみてはいかがだろうか。ボランティアへの参加に際しては、現地の情報を入念に調べるとともに、注意事項などが京大ホームページにも掲載されているので、一読し、必要な手続きと準備を終えてから参加してほしい。(千)