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ブレイクスルー賞受賞 森和俊教授 生命科学分野で

2017.12.16

京都大学の森和俊教授は12月3日、生命科学分野でブレイクスルー賞を受賞した。ブレイクスルー賞はシリコンバレーのノーベル賞とも呼ばれており、過去には山中伸弥・京大iPS研究所所長・教授や大隅良典・東京工業大栄誉教授らが受賞している。

ブレイクスルー賞は、フェイスブック創始者であるマーク・ザッカーバーグやグーグル創業者セルゲイ・ブリンらが出資する財団が主催している。物理・生命科学・数学の3分野において基礎科学で大きな功績を挙げた研究者が受賞候補者として選ばれ、過去の受賞者らが最終的に選出する。今年は、森教授をはじめとする計12名が受賞し、それぞれが賞金300万ドル(約3・4億円)とトロフィーを授与された。

森教授は、細胞内でタンパク質の合成や物質の輸送を担う、小胞体と呼ばれる細胞小器官の研究者。専門とする小胞体ストレス応答は、物質の過剰輸送や各種ストレスによって異常なタンパク質が小胞体内にたまった時に起こる反応だ。異常なタンパク質が増加すると、タンパク質の合成抑制、タンパク質が正しい形になるよう補助する酵素の合成促進、タンパク質を分解する物質の合成促進という3つの働きによって、小胞体内の環境が保たれる。森教授は酵母菌を利用してこの仕組みを解明した功績が認められ、今回の受賞が決まった。賞金の使い道を問われると、実験器具の新調や、体の一部分だけで特定の遺伝子が働かないような特殊なマウスを使った実験の費用としてその一部を使いたいと語った。

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