〈映画評〉『メアリと魔女の花』 一夜だけ魔法使いになれるなら(2017.07.16)

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もしも自分が特別な力を使えたら。古今東西の人々にとって、魔法を使うことは変わらず憧れの対象らしい。スタジオジブリの卒業生らが集まるアニメーション制作会社・スタジオポノック初の長編アニメーション映画『メアリと魔女の花』も、そんな夢を描いた作品である。
 
〈赤い館村〉に引っ越してきたメアリは、赤毛がコンプレックスの女の子。彼女が森で見つけた不思議な花〈夜間飛行〉には、人間でも少しの間魔法が使えるようになるという不思議な力があった。巨大な魔力を持つその花の別名は、魔女の花。花の力で一晩限りの魔女となって魔法大学に迷い込んだメアリは、人類改造実験のために魔女の花を狙っていた魔法使いに目をつけられてしまう。何とか逃げ出したものの、その晩彼女は知り合いの少年が人質として囚われていることを知った。危険な実験を止めるため、そして人質にされた少年を助けるため、メアリは危険を冒して空へと舞いあがる。一緒に帰るという、少年と交わした小さな約束を果たすために――。
 
さて、魔女のオプションとしては、空飛ぶほうきと使い魔が定番である。ジブリ作品『魔女の宅急便』でも、主人公のキキは黒猫のジジをつれてほうきで空を舞う。メアリもほうきと黒猫を連れており、このセオリーを踏襲しているようにみえる。ところが、メアリはあくまで「一日魔女」でしかないため、これらは全て借り物だ。連れている猫は少年の飼い猫であり、ほうきもかつて魔女が落としたものを森の中で見つけてもってきただけだ。メアリの世界では、猫は魔法に精通した存在とされ、メアリが魔女の花を見つけたのも猫を追って入った森の中だった。ほうきも生き物に近い存在で、ひとりでにぐるぐると飛び回ったり、早く乗るように急かしたりする姿は、まるでやんちゃな犬だ。魔法の存在を知ったばかりのメアリがなんとか魔法界で大冒険をやってのけられたのは、魔法の先輩である猫とほうきの導きのおかげなのだ。
 
人の役に立ちたいと思いながら、いつも失敗ばかりのメアリ。それが魔女の花によって突如として人並み外れた魔法の力を手に入れ、魔法使いたちからの尊敬を集めてしまう。普段褒められ慣れないせいで、突然天才ともてはやされるようになったことに戸惑い、照れたり調子に乗って見栄を張ったりするメアリのかわいらしさに注目だ。(鹿)

監督:米林宏昌
配給:東宝
原作:”The Little Broomstick”(メアリ・スチュアート)

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