しっかり学ぶシカ食害 動物園で柵作り体験(2017.05.01)

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4月16日、京都市動物園で体験学習プログラム「“シカになって”シカを防ぐ 柵作りにチャレンジ! 」が開かれた。小学生以上の一般客を対象とした、シカ除けの柵作りを体験するイベントだ。高柳敦・京都大学大学院農学研究科講師による実演指導のもと、老若男女幅広い参加者がネットの括り付けや杭打ちに挑んだ。完成した柵は、市動物園のシカ舎付近に常設展示される。

増加したニホンジカに山林や農地が荒らされる問題は、1990年代より全国で顕著になってきた。下草が食べつくされることによる土壌の流出や生物相の変化のほか、農家への経済的打撃、希少な植物種の個体数減少など多くの被害が報告されている。シカが増加した原因は、猟師や野犬の減少、天敵ニホンオオカミの絶滅、積雪量の低下など諸説あるが明らかにはなっていない。

京都においても食害問題は深刻だ。京都市のシカによる被害額は2013年度に農業で2444万5千円、林業で1395万5千円を記録した。また府内で駆除目的に捕獲されたシカの数は2011年度の8038頭に対し15年度では1万5611頭で、5年の間に倍増。山麓部や市街地にまで出没し、社寺林や緑地を荒らすことも珍しくない。

一般的な対策のひとつは、柵を設置して侵入を防ぐことだ。高柳氏ら研究グループは、こうした柵の性能をより高めようと実験を重ねてきた。今回のイベントで用いられたものがその成果のひとつで、京大芦生研究林で開発が行われてきたことから「AF(Ashiu Forest)規格」と呼ぶ。柵の高さや強度、網目の大きさ、支柱を立てる間隔など11点の規格を、10年以上にわたる試験運用を通して考案してきたものだ。維持管理の簡便化や積雪への対処など課題はあるが、「100%シカを防げます」と高柳氏は話す。現在導入されているのは芦生研究林のほか大文字山、八丁平、修学院離宮などいずれも京都府だが、近いうちに滋賀県でも導入されるという。

本イベントは、京大と市動物園が提携して行う環境教育プログラム「野生動物学のすすめ」の一環。「野生動物学のすすめ」は例年4月ごろに開かれており、市動物園の協力下で京大の教員と研究員による企画が実施される。京大と市動物園の連携事業は、両者が2008年に交わした「野生動物の保全に関する教育・研究を行う連携協定」に基づき、「野生動物保全のための『種の保存』と『環境教育』」を目標として展開されている。(賀)

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