日文研講演会「妖怪データベースからの創造」 公開15周年を記念して(2017.08.01)

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国際日本文化研究センター(以下日文研)の「怪異・妖怪伝承データベース」が、今年で公開から15周年を迎えたことを記念して、7月29日に記念シンポジウム「妖怪データベースからの創造」が日文研にて開催された。このシンポジウムでは、妖怪研究のデータを創造分野で活用してきた人々や研究者を招き、DBにおける発展の方向性について議論した。

妖怪データベース(以下DB)とは、日文研が公開している、妖怪や怪奇的な伝承を集めたDBである。日文研の妖怪系のDBは、研究に役立てられているだけでなく、小説や広告、出版などの創作分野にも活用されている。

はじめに、日文研の小松和彦所長が基調講演を行った。小松所長は、妖怪を理解するには、学際的に研究する必要があるとした。その研究の場として開かれている日文研共同研究会は、1997年の秋に始まって以降、繰り返し開催されている。妖怪DBは入手しにくい妖怪文化資料を多くの人が簡単に利用できるように作られており、共同研究員、妖怪研究者、妖怪作家たち及び妖怪愛好者などに利用されている。今後の展望として、小松所長は妖怪研究、妖怪コレクション、妖怪DBという三つの要素を基にし、妖怪文化を世界に発信したいと述べた。

続いて、山田奨治教授が活動報告をした。まず日文研が公開している三種の妖怪DBを紹介した。一つ目は民俗事例と調査報告や近世の随筆から取り入れた妖怪伝承DB、二つ目は絵巻を全体にスクロールしたり、拡大したりできる絵姿DB、そして三つ目は妖怪の絵を一つずつ切り分け、説明する妖怪画像DBである。次に妖怪DBの集大成として、「日本妖怪大事典」などの本を出版したという事例を挙げた。

休憩を挟んだ後半では、パネル討論が行われた。パネリストには峰守ひろかず氏、伊藤慎吾氏、松村薫子氏、郡司総氏が招かれ、彼ら自身の実践とこれからの妖怪文化、そしてDBの未来について語った。

小説家の峰守氏は妖怪DBを使った自身の執筆方法について語った。峰守氏によると、彼が妖怪DBを使って小説を書くとき、話の作り方が二種類あるという。一つ目は妖怪の資料を調べてから、資料に基づきストーリーを考えるという作り方である。妖怪DBでは地域を限定し、検索できる。例えば京都の妖怪が欲しいと思い、妖怪DBで検索したとする。「そろばん坊主」という妖怪が出てきた場合、峰守氏はこの妖怪を使ってストーリーを作ることができる。二つ目はストーリー上の要請に応じ妖怪や伝承を探すという作り方である。例えば、チョコレートを盗む妖怪が欲しい場合、妖怪DBで「菓子」を入力し検索してみると、「ヒキガエル」という妖怪が出てくる。詳しく見ると、要約の一覧には「旅館で菓子を出すと、縁の下に蟇蛙が転がして取ってしまう。菓子が欲しくなって引くのである」と書かれている。このように、ストーリーにあう妖怪が見つかれば、作品に利用することができる。

次に、大衆文化における妖怪文化を研究している伊藤氏は、現代小説で妖怪がどのように描かれているかを紹介した。その上で妖怪の情報源を検討し、妖怪DB以外にウイキペデイアも使われていると語った。

続いて、「妖怪地域おこし」を研究している松村氏は、妖怪地域おこしにおける怪異・妖怪伝承DBの活用法について述べた。例えば京都の一条通における大将軍商店街は百鬼夜行の通り道だという伝承があることから、妖怪を利用して地域おこしをしているという。地域活動における妖怪DBの活用法には、妖怪伝承を調べてから後世に伝える、地域の新たな妖怪を作り出す、展示のアイディアを探すという三つの目的があると述べた。最後に松村氏は妖怪DBに寄せる期待を述べた。CiNiiなどの関連論文とのリンク機能があれば、人々はさらに妖怪を知ることができ、地域おこしが一層促進されるという。また、妖怪画像とのリンク機能もあれば、妖怪展示会のアイディアを作るための活用も一層促進されるということであった。

KADOKAWA執行役員を務める郡司氏は1997年に京極夏彦氏などと共に、世界唯一の妖怪雑誌『怪』を創刊した。郡司氏は妖怪雑誌の作成過程の中で、妖怪DBにおける画像やエピソードの影響を受けていると説明した。

最後に、信憑性と利便性を更に向上させる妖怪DBの将来の可能性などの話題を巡り、パネリストは意見交換を行った。(涵)

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