企画

自動車教習所特集

2017.04.01

大学生になれば、大多数の人が免許を取るだろう。免許を取れば、友人らとのドライブ旅行も実現する。今号では、免許を取得するために通わなければならない教習所の体験記と、免許を取って間もない編集員らによるドライブ紀行を掲載する。(編集部)

教習所体験記

意外とすんなり取れた

大学生になったら遅かれ早かれ誰もが免許を取ることを考えるだろう。取るならば早いに越したことないし、夏頃から教習所が混んでくるとのことだったので、入学して間もない4月末から私は教習所に通い始めた。自宅から徒歩5分のところに大学生協提携の教習所があったので、迷うことなくそこに通うことを決めた。

教習所に申し込む際、まずAT車限定免許にするかMT免許にするかの選択を迫られる。MT車はブレーキペダル、アクセルペダルのほかに、クラッチペダルがあり、運転者が自らクラッチペダルを使いながら速度に合わせてギアを切り替えなければならない。それに対し、AT車はクラッチペダルがなくギアは自動で切り替わるので、MT車に比べ運転操作が圧倒的に楽である。世間では男性はMT、女性はATにする風潮があるようだが、今日大半の車がAT車であるし、MT車に乗る機会はほとんどないだろう。MT免許はAT免許に比べ、教習時間が長かったり費用が高かったりもするので、車好きなどの理由がなければAT免許でよい。ここまでAT免許を勧めてきたわけだが、私は、親が車好きで自宅の車が数年前までMT車であったこともあり、MT免許を取ることにした。

教習は、第一段階→修了検定→第二段階→卒業検定の順で進む。第一段階、第二段階はともに学科教習と技能教習の同時並行で、どちらも1コマ50分。第一段階と第二段階を合わせて、学科教習26コマ、技能教習は少なくとも34コマ(ATは31コマ)受けなければならない。学科教習は教室での講義で、大学の90分の授業に比べれば短いはずであるが、なにせ興味がない内容で、非常に眠く、楽しいものではなかった。技能教習は、まず第一段階では場内のコースを走ることになる。MT免許ということで、初めのうちはクラッチペダルでのギアの切り替えに苦労したが、意外とすんなり慣れることができた。場内の教習で多くの人を苦しめるのが、S字カーブとクランクである。私も苦労するかと思えばあっさり通過できた。教習中何度も通ったが、結局一度も脱輪したりポールに当たったりすることはなかった。

第一段階の教習をすべて終え、修了検定に合格したらついに路上での教習が始まる。場内ではせいぜい時速35kmで走っていたのが路上では時速40、50kmになり、ギアは3や4まで使うことになる。最初の路上教習で加速しながらギアを2から3に入れようとしたとき、ギアが1に入ってしまって急に減速し、渋滞を引き起こしてしまい冷や汗が止まらなかった。また、路上でエンストしてしまったり、うまく加速ができず後ろの車にクラクションを鳴らされたりしたこともあり、まさにMT特有の怖さを体感した。京都の路上を運転していて思うのは、とにかく路上駐車が多いことである。二車線道路では、左が走行車線、右が追越車線だから基本は左を走らなければならない、と学科教習で習うが、左は路上駐車の車で埋まっていて、追越車線を走らざるを得ないことも多々ある。

教習で一番印象に残っているのは、高速教習である。私が通っていた教習所では、高速教習のときだけ外車を運転できた。言うまでもなく普段の教習車よりもアクセル、ハンドル操作がスムーズで、座り心地もよい。自然に囲まれた京都縦貫道をBMWで走るのはとても心地よかった。もしかすると、最初で最後の外車の運転になったかもしれない。高速教習は3コマ連続で行い、1人ではなく複数人で乗車して交代しながら行う。3時間車中で一緒に過ごすとなれば、乗車中雑談を交わすことにもなり、ドライブの楽しさを知ることもできた。

さて、第二段階も終われば卒業検定だ。検定では、助手席に座る教官に一度でも補助ブレーキを踏まれればそこで検定終了、不合格である。卒業検定に合格すれば教習所を卒業でき、運転免許試験場での学科試験に臨む。この試験は簡単なのだが、合格点が90点ということもあって、不合格になる人もそれなりにいる。京大生でも不合格になる人は普通にいるので、決して油断してはならない。

最終的に、私は修了検定から卒業検定、学科試験まですべての試験を1発で合格し、3カ月ほどで免許を取ることができた。意外とすんなり免許が取れたという印象だった。ところで、免許を取ってから気づくことだが、教習所では教えてくれないことがある。それは、駐車の仕方とガソリンの入れ方だ。教習所では、確かに駐車の教習もあるが、「この目印がミラーに映ったらハンドルを左いっぱいに切る」など、教習所の外では全く役に立たないことを教えられるのだ。駐車は運転するたびに行わなければならないので、免許を取ったばかりの頃はかなり苦労した。また、最近ではセルフのガソリンスタンドが増えているが、教習所ではガソリンの入れ方は教えてくれない。初めてセルフのガソリンに行ったときには、親や友人などに教えてもらう必要がある。(化)

ドライブ紀行

1泊で廻る瀬戸内海の旅

免許を取ったら早速ドライブに出かけよう。車という移動手段があれば、もっと自由に好きなところへ旅に行けるはずだ。もちろん、ドライブそれ自体を楽しむこともできる。
今回編集員が挑んだのは、瀬戸内海の旅だ。3連休の2日目、3日目に、瀬戸内海沿いを反時計回りに一周し、しまなみ海道や松山、香川へ足を運んだ。

今回の旅に参加した編集員

:1年半前に免許取得。普段もよく運転している。
:半年前に免許を取得。車に乗るのが趣味で運転には慣れている。
:1年半前に免許を取得。旅行などでしか運転をする機会がない。駐車が苦手。
:現在教習所に通っている。実車教習を1回終えたところ。

真夜中のハイウェイ

「瀬戸内海で日の出を見る」という目標を立てた私たちは、深夜の1時半に京都を発った。目的地を、しまなみ海道の入口の東にある沼隈半島に設定し、展望台のあるという「後山公園」に向かうことにした。京都南ICから名神高速道路に乗り、中国自動車道、山陽自動車道と進んでいった。

連休中とは言っても深夜はさすがに交通量もかなり少ない。近くを走るのはもっぱら貨物トラックばかりだ。運転の負担になるものは特になさそうだ。旅の始まりに気持ちが高ぶって乗り合わせた4人とも、テンションが高い。出発から1時間半ほど経った頃、山陽道の三木SAで初めての休みをとった。順調にきたことで気持ちも緩んできたのか、このSAから出発すると他のメンバーは眠りについていき、起きているのはドライバーの私だけになった。

三木PAを過ぎたあたりから、照明が減り、ICやPA、トンネルの付近以外ではほとんどみかけなくなった。前後に車が走っておらず、あたりは真っ暗だ。ここから、昼間の運転では味わえないであろう運転体験をした。

それは、ハイビームとロービームをぱちぱちと切り替える作業だ。深夜の運転では、ハイビームとロービームの使い分けが必要になる。ロービームの正式名称は「すれ違い用前照灯」、ハイビームは「走行用前照灯」とされ、その照射距離は、ロービームは40m、ハイビームが100m先を照らすことができるものと定められている。夜道ではハイビームを使い、対向車や前走車が存在する場合にのみロービームを使うのが基本なのだ。

深夜特有のドライブをひとりで楽しみながら旅は順調に進んでいく。6時10分ごろとされていた日の出に間に合いそうだ。福山東ICで高速を降り、海沿いから「グリーンライン」を登っていく。傾斜がきつく、しかも1車線で180度に近いカーブがいくつもある山道で、ここまでの道程で一番の難関だ。すれ違いの車への対応をどうするかを懸念していたが、幸いすれ違いはなかった。日の出の約20分前である5時50分、後山公園に到着した。(小)

しまなみ海道を往く

瀬戸内海に上る朝日を見た後、朝ご飯を食べるために30分ほど車を走らせ、道の駅アリストぬまくまに向かった。7時30分に到着したが、営業時間が8時からだったので、駐車場に車を止め30分仮眠を取ることにした。営業時間前ではあったが、意外にも駐車場はそれなりに混んでいて、同じように仮眠を取っている人が多い。ここまで京都から一晩運転してきた小と化はほとんど寝ていなかったので、仮眠は30分で済むはずもなく、結局2時間ほど爆睡。少し時間を無駄にしてしまったが、疲れた状態での運転は良くないので、仮眠を取ることも大切である。仮眠と簡単な朝食を終え、いよいよしまなみ海道へ。

しまなみ海道は正式には西瀬戸自動車道と呼ばれ、本州側の西瀬戸尾道ICと四国側の今治ICを結ぶ全長59.4kmの自動車専用道路である。青空の下、左右に広がる海や島の自然を見ながらのドライブは気持ちいい。ただ単に走るだけではもったいないので、途中の生口島にある瀬戸田PAで休憩を取ることにした。このPAは多々羅大橋から徒歩10分ほどのところにあり、橋を眺めるだけでなく、実際に橋まで歩いていくことも可能である。さて、しまなみ海道といえば、サイクリングコースとして有名だ。新尾道大橋以外の各橋には自転車歩行者専用道路が併設され、本州と四国を自転車、頑張れば徒歩でも移動することができる。しまなみ海道をドライブしていると、橋を渡るたびにサイクリングをしている人を多数見かけることができた。各島内の一般道路では自転車道を示す青い線の舗装がなされていて、サイクリングをしやすい環境が整っているように感じた。今回は京都からロードバイクを1台車に積んできたので、小をしまなみ海道途中の大島でおろし、今治市の北端にある糸山公園で再び合流した。糸山公園の砂浜や展望台からは、渡ってきたばかりの来島海峡大橋を臨める。砂浜にある桜並木はちょうど数輪が開花していた。

糸山公園を出発し、昼食休憩で海鮮丼を食した。やっぱり海辺に来ると食べたくなるものだ。海鮮丼を食べた後は、夕日を見るべくJR予讃線下灘駅へ。途中松山市内で渋滞に巻き込まれたが、なんとか夕日がきれいな時間に間に合った。駅までの道中では、右に瀬戸内海、左に菜の花という光景に遭遇し、車内一同が感動した。下灘駅は駅から瀬戸内海が一望できる駅としてテレビ等で何度も取り上げられ、すっかり有名な観光名所だ。日曜日ということもあって人でごった返していたが、みな列車ではなく車で来ており、駅の周りは駐車車両がズラリ。駅には大勢の人がいるのに、列車が来てもほとんど誰も乗らないという光景はいささか奇妙だ。天気にも恵まれ、瀬戸内海に沈んでいく夕日は本当にきれいで、沈む夕日に夢中になっているうちに気づけば到着から1時間以上が経っていた。これを1日の締めくくりとして、松山市内のホテルへ。瀬戸内海に昇る朝日に始まり、瀬戸内海に沈む夕日で終わる、なんとも贅沢な1日であった。(化)

大渋滞を抜け京都へ

2日目の朝、まずは讃岐うどんを食べるために、9時半ごろ松山市内を出発して香川県を目指す。この辺りは高速に乗りさえすれば交通量も少ないため走りやすい。とはいえこの日は風がとても強く、横転している車もあったので、速度に気を付けて進む。そのうちに正規分布型の低い山が所々に見えるようになると香川県だ。お腹も空いたので、県西部の善通寺ICで下り、うどん屋で少し早めの昼食をとることにした。コシの強いうどんと客捌きの上手い店員のおばちゃんに感心しながらも、できることなら早く京都に着きたい私達は、のんびりする間もなく再び出発する。高松市を過ぎてしばらくすると片側一車線区間となり、運転していると少々窮屈だ。その後再び車線が増えるとすぐに鳴門大橋が見えてくるので、霞がかった海を横目に淡路島に入る。ここまで来ると関西ナンバーの車も増え、京都に近づいているという実感が少しずつ湧いてくる。島北端の淡路SAで休憩をとれば、後は本州を走るのみだ。

淡路島を走っている頃から、時々「神戸JCTから東へ11km渋滞中」の表示が出るようになった。松山から瀬戸大橋経由で京都へ向かえば通ることになる道だが、かつてそこで大渋滞に巻き込まれた経験のある筆者は、(瀬戸内海一周と銘打っている以上、海のど真ん中をぶった切る瀬戸大橋コースを取り得なかったとはいえ)淡路島経由で来て良かったな、などと優越感に浸りながら明石海峡大橋を渡りきった。しかしそんな気分でいられたのもつかの間、すぐに道路が混み始める。「さっきまで何の案内もなかったやんけ!」とつい苛立ってしまうが、何せこの日は三連休の最終日、怒っていても仕方がないのでそのまま進む。この渋滞を作っている大きな原因の1つが車線の合流だ。自動車道の結節点はもちろん、都市高速は他と比べてICの数が多いうえ、各入口からそれなりに車が入ってくるため、どうしても詰まりやすいのだ。そして我々ドライバーは、その都度他車線に合流し、もしくは他車線からの車を合流させなければならない。筆者もこれにかなり困らされることになった。まず合流する際は、早く隣の車線に入らなければ道がなくなるという焦りから、かなり強引に入れてもらうことになった。合流させる際は、車間距離を広めにとっていたところ、図らずも車の前に「車線変更おすすめスポット」を出現させてしまい、一度に何台もの車を入れる羽目になった。それぞれタイミングを上手くとれず、合流の難しさを実感したが、互いの車が焦ったり自分中心になったりしないことがコツと言えそうだ。そんなこんなで神戸JCTで起こっていたらしい渋滞よりも長い17kmの渋滞に付き合うことになったが、それ以後は比較的スムーズに進んで18時前に京都に到着した。休憩を除けば運転していたのは7時間ほど。思っていたよりもやや長くかかってしまった。

とは言え、2日間のドライブをトラブルなく無事に終えることができた。けれどしまなみ海道、松山、香川ともなれば、本当はもう少しスケジュールにゆとりを持たせて行くべき場所なのかもしれない……。(国)

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