受験にヤク立つ薬草図鑑(2017.01.16)

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受験を成功させるにはまず健康を保つことが大事だが、心にも身体にも負担が掛かる受験期ではこれが難しい。勉強に追われる中でも手軽に実践できるような良い健康法はないかと考えたことのある人もいるだろう。そこでおすすめするのが、薬草である。タンポポのような道端に生えている草木にだって実は様々な効能があり、昔から薬として用いられてきたものは少なくない。身近にあって健康維持をサポートしてくれる薬草は受験生の頼れる味方になる。その一部を紹介していく。

なお、薬草を試すうえで注意すべきことが何点かある。まず道端に生えているようなものは排気ガスや動物の糞尿で汚れている可能性が高いため避けたほうが良い。また、他者の所有地で断り無く採取をしてはいけない。そして、薬草の同定や処理は専門書の詳細な記述を参考にして慎重に進めることだ。うっかり毒草を食べてしまっては試験どころではない。それでも、適切な手順を守れば役に立ってくれるだろう。(編集部)

香り立つ「薬の木」

クスノキ科ニッケイ属 クスノキ
「薬の木」が名の由来とも言われるクスノキには、防虫・抗菌をはじめとして様々な薬効がある。虫害や腐敗に強いことから、家具や楽器、建材などに広く用いられ、また、枝葉を水蒸気蒸留して得られる樟脳という結晶は外用医薬品の成分に使われてきた。クスノキは光沢のある葉やこんもりと丸いシルエットが特徴的で、公園や河川敷、学校などで頻繁に見かける。常緑樹であるため、秋や冬でも容易に発見できるだろう。

入浴剤として用いると、皮膚疾患や疲労に対して効果があるとされている。作り方は、乾燥させた枝葉を細切れにして薄手の布袋などに詰めるだけだ。あとはそれを熱い湯船に投入し、成分が染み出るのを待つ。あるいはあらかじめ鍋で煎じておき、できた煎剤を湯船に注ぐという方法もある。カンファー臭と呼ばれる独特の香りが立ちのぼり、鼻をつんと刺してくる。いかにも効果がありそうだ。

ちなみに、枝葉を入れる袋にはお茶パックを用いると便利だ。お茶を煮出すのと同じ要領なので、適材適所といえるだろう。不要なストッキングを布袋として使う手もある。

また、葉を刻む際に包丁では刃が通りにくく難儀する。キッチンバサミを使ったほうが幾分容易に切ることができるだろう。

根に秘められたパワー

キク科タンポポ属 タンポポ
薬草の中で最も目に付きやすいのがタンポポかもしれない。花はもちろん、切れ込みの大きい葉もなじみが深く、ひと目見ればそれと判るだろう。葉は冬でも枯れず地面に広げられているので、一年を通して見つけやすい。薬としては根が主に用いられ、便秘や疲労、消化不良に効果があるといわれている。また、日本には在来種のカントウタンポポや外来種のセイヨウタンポポなど数種のタンポポが自生するが、薬効に大差はないという。

根を煎じて飲むのが最も手軽な用法だろう。洗った根をしっかり干し、適当な大きさに刻んだら小一時間ほど弱火にかけて煮出す。すると湯に成分が染み出し、茶のような色や味が出てくる。土の味だろうか、何か少しクセのある風味もするが、素材の処理次第で軽減できるかもしれない。

このほかにも、コーヒーを淹れるのと同じ要領で成分を抽出する方法があるという。洗浄・乾燥させた根を細かく切ってから煎り、コーヒーミルを使って挽く。挽いた粉をフィルターに入れ、湯を注いでドリップすれば通称「たんぽぽコーヒー」の完成だ。専門店があるくらいなので、薬効だけでなく味や香りも追求したい人には良さそうだ。

ちなみに、根は開花直前だと養分を多く含んでいて良いという。

花を愛でるほかにも

ユリ科ユリ属 ユリ
百合(びゃくごう)はオニユリやコオニユリの鱗茎(球根)を乾燥させたもののことで、漢方として古くから利用されている。この2種を見分ける場合、オニユリは葉の付け根にむかごをつくることから判別することができる。スーパーで売っているユリ根の多くはコオニユリなので、入手方法としては購入するのが手っ取り早い。観賞用のオニユリの鱗茎は、農薬が使われている可能性が高いためできるだけ避ける。また、花が咲くと苦みが出るため、食用に使うつもりであれば蕾の段階で摘んだ方がよい。

なお、ユリ科の植物には毒をもつものもあるため、採集して食べる場合には種類を特定し安全を確認する必要がある。

食品としても流通しており比較的親しみのあるユリ根だが、薬草としても効能がある。鎮咳・解熱には、5~10㌘の百合を300㍉㍑の水で半量になるまで煎じてできる甘味のない葛湯のようなものを3度に分けて服用する。また、打ち身やおできにも効果があり、生の鱗茎をすりおろして患部に塗った後、布で押さえて湿布にするとよい。

滋養強壮に効果あり

ツバキ科ツバキ属 ヤブツバキ
これからの時期は私立大学、国公立大学と入試が続き、体調管理が一番大事になる。そこで滋養強壮の効能があると言われるツバキの花を紹介しよう。

ヤブツバキは、ツバキ属のツバキを指し、自生しているものと栽培されているものに種の違いはない。自宅で栽培している場合は入手は楽だが、自生しているものを見つけるのは難しい。まずは、花ないし蕾がついていないか確かめよう。これが、発見する大きな手がかりだ。花は、赤色や紅紫色で花弁が5~6枚あり、蕾は先端が淡緑色や淡紅色で円形か楕円形だ。ただ、花と蕾はサザンカによく似ているので注意されたい。葉の大きさと葉柄が見分けるポイントになる。サザンカの葉は幅が2~3㌢であるのに対し、ヤブツバキは3~6㌢だ。また、サザンカの葉柄には細い毛がついているが、ヤブツバキにはついていない。

ヤブツバキは、花に滋養強壮、葉に傷の治癒促進といった効用がある。花は、乾燥させて熱湯に注ぐ。葉は、かみつぶして、切り傷やすり傷、おできなどにすると効果があると言われている。

クリームチーズと一緒に

セリ科オランダミツバ属 セロリ
セロリは、そこらに生えている野草ではないためスーパーで買ってくるのが良い。茎がまっすぐで葉が新鮮なものを選ぼう。12㌢幅にざく切りして布袋に入れ、風呂に投入する。そうすることで、セロリに含まれている「リモネン」という精油成分がお湯に溶け込み、肌から浸透することで血流を促し、冷え解消や疲労回復に役立つそうだ。もっとも、自分がやってみた限りでは、ただの湯と変わらなかった。

セロリを食べると摂取カロリーがマイナスになると言われている。咀嚼の消費カロリーに対しセロリを食べることで得られるカロリーが少ないからだ。茎のすじが太いところの皮をピーラーで削り、スティック状に切る。あとはマヨネーズをベースにしたディップソースをつけて野菜スティックとして食べても良し、セロリの茎のくぼみに具を載せて食べても良しだ。欧米では半分に切った茎の内側にピーナッツバターを塗るのが主流だというが、セロリの臭みが苦手な人はクリームチーズを乗せると臭みが消えておいしく食べられるだろう。

難を転じる縁起物

メギ科ナンテン属 ナンテン
ナンテンは、12月から1月にかけて赤い実をつけるメギ科の低木だ。冬場によく見かける赤い実には他にセンリョウやマンリョウのものがあるが、ナンテンの実はブドウの房のようになるのが特徴だ。「難を転ずる」に通じるため、縁起物として庭に植えている家も多い。入手するなら頼んで分けてもらうのが手っ取り早いだろう。正月などの縁起物についていることもあるが、農薬がかかっている可能性が高いため使用はおすすめしない。

果実・葉ともにアルカロイド系の成分を含んでおり、咳や扁桃炎、湿疹やかぶれなどに対して効能がある。咳止めには果実を干したもの10~15㌘を一日量とし、600㍉㍑の水で半量になるまで煎じた後、3回に分けて食間に服用する。子供に与える際は3割ほどに量を減らし、砂糖や蜂蜜などで甘みを付けるとよい。なお、果実は多量に摂取すると痙攣や呼吸中枢麻痺を引き起こすため、用量をきちんと守ること。扁桃炎のときは、乾燥した葉10㌘を600㍉㍑の水で半量になるまで煎じたものを使ってうがいをする。湿疹やかぶれには、乾燥した葉を布袋などに入れて浴湯料として利用する。

葉には防腐作用があるため、縁起をかつぐ意味も込めて食べ物の上に散らしておくと、食中毒の防止にもなって一石二鳥だ。

【参考文献】北村四郎、村田源『原色日本植物図鑑・木本編Ⅱ(改訂版)』2002、保育社◆吉山寛・石川美枝子『原寸イラストによる落葉図鑑(第2版)』1993、文一総合出版◆増田和夫『自分で採れる植物図鑑』2006、柏書房株式会社◆村上志緒『日本のメディカルハーブ事典』2013、東京堂出版◆和田浩志・寺林進・近藤健児『牧野和漢薬草大図鑑(新訂版)』2002、北隆館◆小西天二ほか『薬用植物ガイド』2010、トンボ出版◆森正孝・森昭雄・國分英俊『薬草のつぶやき 山野の薬草・薬草園の植物』2014、メディカルサイエンス社

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