編集員が語るセンター試験(2017.01.16)

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初恋と精神病で大失敗

センター試験に関する思い出は2014年、高校3年生の冬に遡る。駿台市ヶ谷校で大学入試センター試験プレテストを受けた時だ。センター試験を1カ月後に控え、教室は殺気立っていた。体力の全てを使い果たし、駅へ向かう橋を渡った。その橋の上で、同じ予備校の男の子にばったり会った。彼はお茶の水校で試験を受けていたが、私に会いたいがために、解答も貰わずに急いで総武線に飛び乗ってきたのだと後からわかった。彼とサイゼリヤで自己採点をした。結果は散々だったが、その後一緒に外堀沿いを散歩した時に見た夜景が美しかった。

冬期講習の帰りの大晦日、新御茶ノ水駅のベンチで彼に交際を申し込まれ、私達は恋人になった。予備校でいう「直前期」に、私と彼はお互いに好きな気持ちを制御できなかった。長時間会い、喧嘩もして、私は恋愛感情と受験の不安によって精神のコントロールが利かなくなった。「どうしていつも笑いながら泣きそうな顔してるの?」と彼に言われたのを覚えている。物忘れが激しくなり、電車に乗るだけでなぜか涙がこぼれた。

そのような状態で、寝る間も惜しみ勉強を続け、センター試験当日を迎えた。彼氏、家族、友達がくれたお守りを筆箱いっぱいに詰めた。試験会場は家から遠かったので、私は2日とも朝4時半に起きることにした。時間に余裕を持ち、かつ直前の詰め込みをするためだった。体に負担がかかりすぎていることにその時は気づけなかった。

1日目の朝。Suicaのチャージ切れに気づかず改札で引っかかり、会場に着いてから上履きを忘れたことに気づくなど、今思えば上の空だった。それでも、得意科目でしっかり点をとり意気揚々と家路についた。

そして、2日目の数学ⅠA。開始から50分ほど、やけに簡単だ、と満点を確信しながら解いていたところ、ふとページをめくり見返して、確率の問題を解いていないことに気づいた。これ、数学Ⅰだ。その瞬間、全身が冷たくなり、目の前が真っ暗になり、嫌な汗が背中を伝った。休み時間になった瞬間、私は教室から飛び出したが、ひどい目眩で立っていられず、しばらく階段に座り込んでいた。窓の外で遠くにはためている洗濯物を見ながら、「ああ、これで浪人だ」と思ったのを覚えている。トイレの鏡で見た私の顔は蒼白だった。動揺して次の数学ⅡBは手につかなかった。

センター試験の翌日、高校で自己採点の提出があった。進路担当の先生は私の顔色を見て「大丈夫か?」とわざとらしく笑いながら言い、私は目も合わせられず「悔しい」と一言つぶやいた。その後、彼氏と会う予定になっていたが、電車に乗る気になれず、一駅分歩いた。景色の全てがカメラの露光を高くしたかのように白く光り、ぼんやりしていた。ショッピングモールのトイレにこもり過呼吸に耐えた。その後、彼氏と上野公園で階段を登り切った時に見た夕陽がきれいで、「生きててよかった!」と言った。彼のことが好きだからこそ、深い絶望感にとらわれていた。

確かその時期に、私は躁鬱病と診断された。

結局その年は、京大に出願しなかった。センター試験の数学が実質0点になったからだが、彼氏との関係に悩んで病状が悪化したからという理由もある。お守りなんてものは、彼氏なんてものは、全くセンター試験の役に立たなかった。浪人を始めるにあたって、彼氏と別れた。

心身の状態からして予備校に行けそうもなかったので、宅浪を選択した。家族以外誰とも話さず孤独を守った。薬を服用しながら、毎日図書館の開館から閉館まで勉強する規則正しい生活を送った。結果として、センター試験では高得点をとれた。それまで勉強に干渉してこなかった父は、1日目の朝、「これまでよく頑張った」と固く握手してくれた。

躁鬱病は治る見込みはなく、失敗は戻らない。夜眠る前には、恋人に抱かれていても、あの現役の時のセンター試験が瞼の裏に浮かぶ。(竹)

息抜きするのもまた一手

受験直前に必要なのは、気負わないことの一点に尽きると思う。人の話を聞いていると、受験期にはがむしゃらに勉強を頑張っていた人が多いようだし、目標に向けて一心不乱に打ち込めるというのは尊敬に値する。しかし、それが全てではないだろう。私自身は受験期もあまり生活の仕方を変えず、今まで通り娯楽小説やゲームと懇意にしていた。こんなのが現役合格というのは頑張っていた人に申し訳ない気がしないでもないが、間違ったやり方ではなかったと信じている。

私の通っていた高校はいわゆる進学校で、3年生にもなるとほとんどの授業が受験対策だった。ひたすら過去問を解き、尽きることのない課題に追われ続ける。勉強ばかりの日々に嫌気がさしたころ、ふと疑問が生じた。「そこまでして自分は大学に行きたいのだろうか?」 答えは割とすぐに出た。否だ。辛い思いをして勉強して、そのご褒美が大学入学だなんてあんまりだ。必死にあがいて合格したところで、どうせ勉強嫌いになっているから、大学の講義は楽しくなかろう。生憎、サークル活動に打ち込んで青春を謳歌するというタイプでもない。現在の生活を楽しみつつ、勉強も嫌いにならない程度に続け、受かったらラッキーくらいの認識のほうが私には合っている気がする。そういうわけで、以降は勉強の気休めと言い張れる範囲において、遠慮なく趣味にも時間を費やした。

センター試験直前の、なんと気の抜けていたことか。待ち望んだ新作ゲームの封をためわずに切り、受験前日は好物ばかりの夕飯に歓喜し、当日の朝には久々に会った知人との再会を懐かしみ……。思い返すと我ながらその暢気さに呆れてしまうが、一切の緊張もなく実力を発揮できたことには違いない。

少年よ、余裕を抱け。努力より難しいかもしれないが、これもまた一つの能力だ。(鹿)

手紙に踊らされた一日

センター試験前日の夜、「試験会場まで持って行って、試験の直前に読みなさい」と言われ、父親から手紙の入った封筒を渡された。読まなくてもなんとなく内容は想像がついた。この日まで納得のできる勉強ができず、期待してくれている親に申し訳なくなって、布団の中で泣いてしまった。センター試験当日は、もちろん緊張していた。手紙はしっかり試験会場まで持ってきていたが、あろうことか緊張のあまり試験前に読むのを忘れ、1科目目の公民を受けてしまった。手紙の存在を思い出したのは公民が終わって昼食を取っているときだった。冷や汗が止まらなかった。手紙を読み、試験教室で涙した。そして、手紙によりもたらされたのはプレッシャーだけだった。その後の国語では文章が全く頭に入らず、全国平均を下回る散々な結果となった。

親からの手紙は本来であればうれしいものだ。ただ、試験直前に渡されてはただただプレッシャーにしかならない。試験直前は親として心配になって色々と思うところがあるのも分かるが、子を信じて静かに見守っていてほしいものである。(化)

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