文化から考える吉田寮 連続セミナー第2回(2016.12.16)

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12月10日、連続セミナー第2回「21世紀の京都大学吉田寮を考える」が京都大学楽友会館で開催された。吉田寮生有志が実行委員会を組織して開いたこのセミナーは、寮自治会と大学当局との老朽化対策交渉が膠着する中、吉田寮が未来に残すべき価値を持つかを文化・建築・歴史など多様な角度から改めて考えるために、学内外の様々な立場の人々と意見を交換し、情報を共有することを目的としている。今回は、伊藤公雄・文学研究科教授と元寮生で京都新聞社の稲庭篤氏が招かれた。

91年に入社し、95年に京大記者クラブに入った稲庭氏は、自身の経験を踏まえ、吉田寮が市民らにどう見られているかについて語った。吉田寮周辺での火事が新聞社内では一大ニュースとして扱われていたことや、寮祭のイベントである「鴨川レース」を市民が「生暖かい目」で見物していたことなどから、吉田寮は愛されている場所だという印象を受けていると話した。

伊藤氏は、自らの研究をもとに自主管理空間や文化創造について語った。ベンヤミンの『複製技術時代の芸術』や中井正一の『委員会の論理』を援用し、複製技術の普及で芸術が変容するなかで、民衆の集団的な文化創造の可能性が生まれてきたと解説する。それが現れた60年代以降のカウンターカルチャーの盛衰を概観した上で、コンピュータの発達によって、2次創作、3次創作といった複製技術の高度化が進行していることを指摘した。さらに、近年、ヨーロッパで貧困を背景に社会が不安定化し、不安定階層が増えていることを受け、多様な文化創造が現れてきていることをイタリアの事例から説明し、デモクラシーのベースとして草の根の文化創造を目指していく必要があると主張した。

ディスカッションでは、資料の保存が話題になった。吉田寮食堂などが学生の自主的な運営によって、芸術の実践の場・文化発信の拠点となってきたことを踏まえ、「これまでの資料を集めたアーカイブがあれば面白いのではないか」という意見が出たのに対し、「一過性のはかなさにも良さがある」「プライバシーの問題で議論が続いている」といった指摘がなされた。コーディネーターを務めた冨岡勝・近畿大学教職教育部教授は「寮祭のチラシも、集めて日付などを記入して保存していくと貴重な資料になる」と語った。

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