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アイヌ遺骨 返還求め申入れ 当局は取り合わず

2016.12.16

11月14日、「京大・アイヌ民族遺骨問題の真相を究明し責任を追及する会」(以下「追及する会」)が時計台前のクスノキ下でイチャルパ(供養祭)を行ったのち、京大に保管されているアイヌ民族の遺骨に関して山極寿一総長らとの話し合いを求めた。しかし大学当局はこれを全面的に拒否した。

イチャルパは北海道旭川の川村シンリツ・エオリパック・アイヌさんが主宰し、レラの会のアイヌ民族・平田幸さんとともに12時半から約40分にわたって行われた。約20名が参加し、京大に遺骨を保管されているアイヌの人々に弔いの念を捧げた。その後「追及する会」は本部棟前に赴き山極総長らとの談判を求めたが、応対した職員は、本件について個別の問い合わせ・要望には応じかねると述べてこれを拒否。また、山極総長、森脇淳・理学研究科長、上本伸二・医学研究科長、平田昌司・文学研究科長、岩崎奈緒子・総合博物館長に対して「アイヌの遺骨および副葬品をアイヌ民族に返還すること」や「アイヌ民族とのチャランケ(話し合い)に誠実に向き合うこと」「北海道白老町に建設予定の『慰霊・研究施設』への遺骨の移管に反対すること」を要求する文書を差し出した。しかし職員は受け取ろうとせず、「追及する会」はその場で本文を読み上げた。

また、京大が琉球民族の遺骨を発掘したという記録も残されている。これに対して2015年2月7日には、琉球民族から「琉球民族の墓荒らしを謝罪し、略奪した遺骨を元の場所(琉球弧)に返還せよ」との申し入れが行われたが、当局は応じていない。「追及する会」が今回出した文書には、この琉球民族の要求に真摯に向き合うようにという項目も掲げられている。

京都大学が所有するアイヌ遺骨等については、「アイヌ人骨保管状況等調査ワーキング」が11年10月から12年2月の間に調査を実施し、遺骨94体や副葬品55点が京都大学総合博物館に保管されていると報告している。「追及する会」はこれらの返還や話し合いを求めて13年より大学に直接の申入れを繰り返しており、また、京大による調査は不十分で報告に信ぴょう性が無いとして再調査の実施や関連文書の全面開示を訴えてもいるが、当局は「追及する会」をはじめとして「個別の問い合わせ・要求」には取り合わない姿勢を貫いている。「追及する会」は北大人骨問題の真相を究明する会やピリカ全国実(「北方領土の日」反対!「アイヌ新法」実現!全国実行委員会)で活動してきた人々や京大のアイヌ問題に関心を寄せる人々からなる団体。

【用語解説】

レラの会 首都圏でアイヌ文化伝承活動を行うために結成された団体。
北大人骨問題の真相を究明する会 1995年に北海道大学で発覚した人骨事件の真相を究明するために結成された団体。

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