誰に、何を伝えるのか ライティングとデザイン ~研究を伝える 技と心を考える~(2016.12.1)

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11月18日、ルネイベントスペースでトークイベント「ライティングとデザイン~研究を伝える 技と心を考える~」が開催された。講演者は元木環・情報環境機構助教、鈴木哲也・京都大学学術出版会専務理事・編集長、塩瀬隆之・総合博物館准教授の3名。専門化した学問内容がうまく活用されていない現状から、幅広い対象に研究成果をどう伝えるかについて意見を述べ合った。

まず講演者らは、「伝える」ことについてそれぞれの思うところを述べた。鈴木氏は、近年の学術界では専門化が進む一方で、専門家らが自分の研究の持つ意味を伝えるべき対象やそのための方法を適切に把握できておらず、書かれるだけで利用されない論文が増えていることを指摘した。また塩瀬氏は、学問におけるコミュニケーションの重要性を強調し、普段その分野に接する事のない者との会話が新たな視点を与えることや、相手のリアクションを引き起こすような表現が研究に対する聞き手の理解をより深めることを例に挙げた。

その後、講演に集まった人々からの質問をもとに、研究成果を伝える際のわかりやすさや面白さなどの話題を中心に意見交換を行った。近年はわかりやすさが求められがちだが、専門用語を減らしてゆっくり話せば伝わるという勘違いが多いと鈴木氏はいう。こうした説明では表面的なことを分かった気にはなっても、本当の意味で意義を実感することはできない。また、わかりやすさばかり求めることの弊害には、まだ完全に解明されていない研究段階の事象が省かれ、そこにある可能性や面白さが切り捨てられてしまうこともあげられる。これは情報伝達の場における研究者と聞き手の間でのコミュニケーションの減少を引き起こすことにも繋がり、研究の意義が伝わらない一因となっている。一般大衆が聞いたことを鵜呑みにしてしまうことにも原因があり、研究の持つ意義を広く伝えるためには、わからないことをわからないまま受け取る練習を一人一人が行っていく必要があるとした。塩瀬氏は、研究内容のもつ厳格さと、面白さ・わかりやすさが両立できない二者択一の関係にあると考えるのは間違っていると主張する。相手の関心に内容をうまく結合させ、知的研究心をくすぐる展開を作り上げることができれば、難しい表現や内容でもきちんと面白さを伝えられるという。自身が携わった展示を例にあげ、あえて自分から姿勢を変えないと見づらいような配列を作ったり、実感しづらいマクロやミクロの事象を身近なもので例えたりすることで、展示ごとの滞在時間が延び、当事者意識に基づく深い理解が得られると述べた。その一方で、展示の体裁に凝りすぎることで見やすさが損なわれる、展示品自体の持つ存在感や価値を軽視することになるなどの問題もあり、両者のバランスをとったデザインの難しさも明らかになった。(鹿)

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