〈映画評〉『ビッグ・フレンドリー・ジャイアント』(2016.10.1)

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大きさなんて関係ない


眠れぬ夜を過ごしていた孤児院暮らしのソフィーは、物音を聞いて駆け付けた窓辺で、身長7メートルの巨人に見つかり、巨人の国へ連れ去られてしまう……。こう書くとまるで恐ろしい巨人から逃げるアドベンチャーのようだが、実際の内容はディズニーお得意の「人と人でないものの友情譚」だ。他の巨人の半分しか身長がないBFG(ビッグ・フレンドリー・ジャイアント)とソフィーは次第に心を通わせていき、最後には人食い巨人からイギリスの子供たちを守るべく立ち上がるのである。見どころの1つは、作中でも重要な役割を果たす「夢」の幻想的な美しさだ。BFGの仕事は、眠っている子供たちに夢を吹き込むこと。そのためBFGの住まいは、さまざまな色に輝く夢がつまった瓶でいっぱいだ。夢の材料は夢の国で生まれ、雨のしずくのように葉から零れ落ちると同時に輝く光の玉となって縦横無尽に宙を駆け巡る。BFGは夢を作るために、虫取り網を片手にこれを集めて回るのである。ソフィーは無理を言って1度だけ同行し、一緒に「夢捕り」に挑戦する。光の飛び交う大きな木の周りで文字通り「きらきらと輝く夢を笑顔で追いかける」少女と、それを温かく見守る心優しい巨人の姿は、まさにファンタジックの一言に尽き、これだけでも一見の価値がある。

もう1つの見どころは、サイズ感の表現の妙だ。人間とBFG、ほかの巨人では、それぞれ大きさが明らかに違う。それが最も顕著に表れるのが、ほかの巨人にBFGがいじめられるシーンだ。巨人たちは人間界から持ってきたと思われる大型トラックの背中にBFGをのせ、坂道のてっぺんから蹴り出す。同時に、自分は乗用車2台をローラースケートの靴のようして坂を滑り下りるのだが、実はこの自動車の運転席にはソフィーが隠れていて……。サイズ差が大きすぎて三者が同時に画面に映ることはほとんどないが、この場面一つをとっても大きさの関係性が感覚的につかめるのである。後半にはBFGが宮廷に招かれる場面があるが、こちらでも四つん這いにならないと通路を通れなかったり、ポット代わりに大きなじょうろが使われていたりと、人間と巨人のサイズの差がユーモアを交えつつ描かれている。

原作である『オ・ヤサシ巨人BFG』は、『チョコレート工場の秘密』で知られるロアルド・ダールの著書。スティーブン・スピルバーグとディズニーのコラボレーションで実現した本作は、『E.T.』の脚本を務めたメリッサ・マシスンの遺作でもある。(鹿)

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