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レストラン「まどい」休業へ 55年の歴史に幕

2016.10.01

京都大学の学生や教職員に長らく利用されてきた百万遍のレストラン「まどい」が9月30日をもって休業する。近年、利用客が大きく減ってきたためで、再開の見通しは立っていない。

「社会状況が変わり、ニーズに合わなくなってきた」と2代目社長・伊藤英彰さんは分析する。まどいは、55年前の1961年に伊藤さんの父が、左京区吉田近衛町でクラシック音楽を聞かせる喫茶店として開いた。2年後に百万遍へ移りレストランを始め、西洋料理を気軽に食べられるようにと安価で提供した。京都大学の学生や教職員が多く利用し、最盛期には1日に700人の来客があることもあったという。しかし、ここ7、8年は客足が遠のき、採算割れに陥っていた。「まどい」を経営する株式会社円居は、「ラ・トゥール」(吉田キャンパス)や「ラ・コリーヌ」(桂キャンパス)といった店舗も経営しており、これらの店の収益で百万遍の「まどい」の赤字を補っている状態だった。

約1カ月前に休業が発表されると、SNSなどで話題になり、客の入りが増えたという。再開への見通しは立っていないが、「まどいの理念を変えることなく、新しい挑戦ができれば」と伊藤さんは語った。