今読みなおす 過去の名作 人文研アカデミー「名作再読」(2016.8.1)

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7月16日、人文科学研究所による夏期公開講座「名作再読」が開催された。人文科学研究所の教員が、中国とフランスの歴史や文学、哲学などそれぞれの専門分野に関する作品について講演した。
 
冨谷至・人文科学研究所教授は、「冷徹な人間分析 -『韓非子』を読む」という演題で古代中国の思想家・韓非とその著書である「韓非子」を取り上げた。韓非は、人間は本能的に打算で行動する生き物であると考え、儒教の強調する「親子の情愛」でさえ虚構であるとして真っ向から否定する。韓非によれば、肉親関係よりも緊密でない君臣関係はなおさら、相愛の道に従うだけで維持できるものではない。臣下が私利私欲に走り君主に取り入るのを防ぐためにも、君主は仕えるものにとって何が得で何が損なのかはっきり示す必要がある。
 
韓非の思想の源泉は、荀子の性悪説にある。人間の本性は生まれつき利を好むものである。妬みや憎しみの気持ちやさまざまな欲望、感情に任せて行動すればかならず争奪が起こり道理が乱れる。そのため師による教化や礼儀に沿った指導を行い、世の中を治めるべきであるというのがその主張だ。韓非は秩序ある社会の構築をなによりも重視し、そのためには行政マニュアルである法律とそれを遵守させるための刑罰が必要であると考えた。社会の構成要素である人民の統制のためには、それらを独立した人格をもった存在ではなく集団として捉え、常に絶対多数に視点を置かなければならない。韓非は、人間の損得に対する本能的な反応を現実としてそのまま受け入れ、それについて善悪の判断を下すことはなかった。彼は人間の打算的な本性を利用して政治や統制を行おうとしたのである、と冨谷氏は語った。同氏の著書『韓非子 不信と打算の現実主義』では、殷周時代の政治や動乱に始まり韓非子に影響を与えた諸子百家の思想や、韓非子の法家思想とその継承などが紹介されている。.
 
講座では冨谷氏のほか、藤井律之・人文科学研究所助教が「出来の悪い正史 -「晋書」を読む」という演題で、森本淳生・同准教授が「マルグリット・デュラス『愛人〈ラマン〉』をいま読みなおす」という演題でそれぞれ講演した。各講演の後に設けられた質疑応答の場では、作品の解釈や背景などについて数多く質問がなされた。
 
8月10日には、公開講座「高校生のための夏期セミナー ―漢字文化への誘い― 第4回『知の聖地にようこそ』」が開催される。(杏)

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