文化

自動車教習所特集

2016.04.01

教習とは何か―京都で通学する場合

「あと3分でチャイムだ」。そう思いながら汗だくになって自転車をこぐ。教習所に通った時期を振り返ると、そんな思い出がクルマの運転と同じくらい頭に残っている。

下宿から自転車で約20分の教習所に私は通ったのだが、時間管理が下手なため、いつも始業時間ぎりぎりになって慌てていた。教習に少しでも遅刻するとキャンセル料として1コマにつき2700円を取られる。バイト代も吹っ飛んでしまう高額な「罰金」におびえ、うだるような暑さの中でもペダルを全力でこいだ。教習所では、居眠りも処罰の対象だ。大学の授業で居眠りに慣れてしまっていたので、眠気と闘うのは大変だった。もちろん、日頃から時間をきちんと守り、居眠りをしない殊勝な人は、こんな苦労とは無縁だろう。
免許は休暇中に取るものだというよくわからない強迫観念に支配され、約30万円かかる速成コースに申し込んだ。約1カ月半で卒業検定まで終えることができたが、1日に何時間も学科教習と技能教習を受けるのは苦痛だった。せっかく通学で教習を受けるのであれば、長期計画をたてると費用も安くなり良いだろう。
ここまで失敗ばかり書いてきたので、最後に楽しかったことを紹介しておこう。意外に思われるかもしれないが、高速教習だ。私の通った自動車学校の場合、京都縦貫道を走った。自然を破壊して造られた縦貫道は、山々に囲まれ、景色がよい。本当にこの場所に高速道路が必要だったのかと疑うほど交通量が少ないので、過度に緊張せずに運転できる。教習のなかで一番、運転の楽しさを感じた。 (小)

「ただ、あの家に帰りたい。」―2週間の免許合宿体験記

私はこの夏、兵庫県の北にある教習所に2週間免許合宿に行ってきた。免許合宿の全貌やいかに。

寮・部屋の様子

私は、教習所から徒歩10歩のところにある女子寮で2週間を過ごした。寮の内装は比較的きれいで、1人部屋と2人部屋と3人部屋があった。トイレ、風呂、洗濯機は共有で、トイレは各階に1つずつ、風呂と洗濯機は1階に1つあるのみであった。洗剤は寮に備え付けのものをいくら使ってもよかったので救われた。1階はリビングのようになっており、大きなソファとテレビ、漫画、冷蔵庫、給湯器が置いてあり、自由に使えた。部屋には、人数分のベッドとロッカー、小さな机、椅子があった。無駄なスペースはないため基本的にベッドの上で過ごすこととなる。ベッドはなかなかにハードなタイプで、マットレスが非常に薄かった。総じて、大した問題はなかったが、唯一頭を悩まされたのが、風呂にある2つのドライヤーの存在であった。この女子寮のブレーカーは、建物内で2つドライヤーを使うと落ちることになっているのに、なぜか風呂には2つドライヤーが置いてあり、このトラップにひっかかった罪なき者によって私の部屋の電源は毎回落ちるのであった。しかも、部屋の電源が落ちるのは私の泊まっていた部屋とそのお隣の部屋のみだったため、利用者はそのトラップに気付かず使い続ける始末。最終的に、同室の友人と協議を重ね、1つのドライヤーは私の部屋で期間中預かっておくことにしたので、後半はそこそこ快適に過ごすことが出来た。

生活

教習所での生活は、時間割に沿ったものとなる。朝から座学か実習があることがほとんどで、昼まで寝ていられることは少ない。毎日学科教習2コマほどと教習所のコース内での実習2コマほどで最初の一週間は進んでいく。後半は学科教習が終了してくるので、路上での研修3コマ以外、後は自由となる。1コマ1時間半の学科は眠いがおもしろいものもある。よく言われているように教習所の規則は厳しいので、遅刻した者は途中で学科に参加しようとしても、教官に追い返される。学科は自分で好きなコマをとれるので代わりに別のコマを受講することも可能だが、実習は無断で遅刻した場合キャンセル料金が発生し、場合によっては卒業する日が伸びることもあるので注意しなければならない。さらに実習は、毎回受付にある機械で自分の車番号を確認し、車庫のどこにあるかわからないその車の前で待機しておく必要があるため、なかなか面倒だ。私は一度寝坊をして実習をすっぽかしかけたが、2分遅れで受付に到着し必死の形相で謝ると、少しなので別のコマを用意しますと言って見逃してもらった。徒歩10歩の距離とはいえ、あきらめずに走ってよかった。食事は、メイン1つ、小鉢1つ、汁物1つ、ご飯というごく普通の食事で、汁物とご飯はおかわり自由であった。味はそこそこおいしく、量も満足いくものだった。教習所内で自由に使える設備として、レンタル自転車とグラウンドとテニスコートがあった。すべて無料で、テニスコートに関しては予約がいるので、各地方から来たテニサー部員による争奪戦が繰り広げられていた。これらの設備をフルに活用し、暇を見つけては自転車で近所のスーパーやラベンダー畑に行ったり、テニスをしたりして、度重なる教官からの叱責ですさんだ心を癒した。

最後に

免許合宿の良い点は、2週間でとらねばならないという焦りから本気で教習にのぞめることだ。私のように運転がすさまじく下手な人には、そういった環境で追い込んでさっさととってしまうのが良いと思う。だが、何より精神的にやられるのは事実で、後半は「早く帰りたい」ただそれだけを胸に抱きながら過ごすことになる。そのため、人によっては精神不安定な状態に陥るので注意。一緒に行く人はしっかり選ぼう。      (寺)

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