〈京都大学未来フォーラム〉日本の鉄鋼業発展の要因は 新日鐵住金相談役 友野宏氏が講演(2015.12.16)

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様々な分野で活躍する京都大学の卒業生が講演する京都大学未来フォーラムが2日、開催された。64回目となる今回は、新日鐵住金株式会社相談役の友野宏氏が「世界をリードする日本の鉄鋼産業―もの造りの現場第一線から―」と題し、鉄鋼業界のこれまでの発展と今後の課題について語った。

紀元前3000年頃から既に使われていた鉄だが、かつては1㌔400万円ほどする非常に高価なものだった。それが、ヨーロッパでの産業革命や近年の技術進歩を受け、今や1㌔80円ほどで作れるまでに生産性を上げている。日本では特に、戦後の復興期から大規模に生産されるようになった。その要因として、友野氏は4点を指摘した。1点目は臨海一貫型の生産である。奥地に点在するヨーロッパの工場とは異なり、巨大な溶鉱炉をもつ施設を海のそばに備えているため、全ての工程を1カ所で効率的に行うことができる。2点目は高い生産性だ。コンピュータによる自動運転を積極的に推し進めた結果、生産ライン数を減らしても同じだけの生産量を維持できるようになった。少ない人員でも業務が回るので、賃金の高い日本がコスト面で他国と互角に勝負できるのだという。友野氏は3点目として、近年急激に成長している中国をはじめ、競争相手の多いアジア市場に属していることを、また4点目として自動車の製造に必要な質の高い鉄の開発を進めてきたことを挙げた。日本は現在、これらの技術を海外にも輸出し、鉄鋼業における先進国としての地位を確立している。

しかし、鉄鋼業の未来も安泰ではない。中国の台頭などで供給量が増える一方、鉄が別の素材に取って代わられるようになり、需要が減っているのだ。特に自動車産業においては、良質な鉄の少ないヨーロッパを中心にアルミを使用する動きが出てきている。製鉄関連のトップ企業の中には、赤字に苦しむところも少なくない。そうした状況の中、会社を発展させるためにはどうすればよいのか。友野氏は、設備と人材にお金をかけることで、より強度が大きく曲げやすい鉄の開発など、技術面での発展を目指すという経営戦略を説明した。

かつて鉄鋼業をリードしていた欧米はこの50年で衰退気味になり、反対にこの50年で技術を成熟させた日本が今の鉄鋼業の発展を支えている。友野氏は、「次の50年で日本の鉄鋼業がさらなる高みを目指すためには、既存のプロセスを改善し、加えて革新的なプロセスを導入することが重要だ」と話し、講演を締めくくった。(国)

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