「モノ作りをするということ」 有信会秋季講演会 NHK屋敷氏が登壇(2015.12.01)

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11月12日、法経本館にて、本学法学部の同窓会組織「有信会」による秋季講演会が開催された。今年は、NHK制作局ドラマ番組部チーフプロデューサーである屋敷陽太郎氏が、「2016年大河ドラマ『真田丸』の舞台裏とマスメディアの現場で日々考えてきたこと」と題しての講演をした。

屋敷氏は、京都大学法学部を1993年に卒業しており、学生時代は本講演会を主催した有信会の学生委員を務めたそうだ。自分が学生時代とても良いとは言えない成績だったということを赤裸々に話すなど、終始ユーモアを交えながら語り、講演中は笑いが絶えなかった。

今でこそNHKのドラマ番組部チーフプロデューサーである屋敷氏だが、そもそもマスコミ関係を志望していたわけではなく、演劇や映画の知識や経験が人より多くあったわけでもなかったという。そんな屋敷氏がドラマを制作するうえで大事にしているのは「感動に素直になること」。私たちは物語というフィクションを通じて勇気や愛、善悪などを学ぶ。そして、ドラマの内容がフィクションだとわかっていても、ハラハラドキドキしてしまう。その理由を屋敷氏は、嘘を本物に見せようという制作者の努力が視聴者の心をうごかすからではないかと考え、「感動に素直に」ドラマの制作をするのだという。さらに屋敷氏がこだわっているのは、自分の作品を全国の老若男女に楽しんでもらうということである。なぜなら、マスメディアのマスは、大衆という意味で、地域や世代、性別によって目の付け所は違い、屋敷氏はドラマ制作者として、それらすべてにできるだけ対応しなければならないと考えているからだ。そしてそのために、ひたすら細かい部分にこだわるのだという。例えば、現代と違う時代を扱う時には、登場人物の恰好やテレビから流れるテレビ番組、車の車種にまでこだわり、忠実に再現するのだ。しかしここで面白いのが、少しでも本物に近づけるように細部までこだわるだけでなく、そこに隠された大きな嘘が視聴者の感動を生むということである。例えば、田舎のバス停の場面において、バスを待っている人を考えたとき、私たちのイメージだと田舎に住むおじいさんやおばあさんがしっくりくるのではないだろうか。しかし現実では、田舎に住むお年寄りは生活のために軽自動車を持っており、そうでない人もデイケアのバスに乗ることが多いため、わざわざバスを待たないのである。実際バスを待たざるを得ないのは、田舎に働きに来ている、白人で金髪のお姉さんだったりするのだ。かといってここでリアリティーを追求しすぎると、視聴者はそこに気をとられて、肝心のドラマの内容に集中できなくなってしまう。このように、単にリアリティーを追求すればいいというのではなく、ドラマの内容を引き立たせるためには視聴者のイメージに合わせて大胆に嘘をつくことも大事なのだと屋敷氏は語った。(寺)

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