文化

秋の月夜、 宇宙を面白おかしく

2015.10.01

宇宙科学に広く一般の人々が親しみやすくなることを目指す京大宇宙落語会が右京区の寺町妙心寺壽聖院にて9月21日に開催された。同会は4年前に京都大学宇宙総合学研究ユニットが中心となり発足した。落語と宇宙とお寺を掛け合わせるという新しい試みは去年に続き第二回となる。

京大で1・2回生を対象に落語を交えた「宇宙総合学」という講義を行ったことがある落語家の林家染二さんが、宇宙ターミナルへ旅行する家族を描いた宇宙落語を披露した。

宇宙トークでは、京都大学花山天文台長を務める柴田一成教授が「太陽、地球、宇宙人」をテーマに話を進めた。柴田教授は、宇宙落語で触れられた太陽の表面で起きる爆発スーパーフレアとそれが引き起こす大災害の可能性について言及した。「太陽は爆発だらけなんです」と言う柴田教授によると、小さいものは1年間に数回、大きいものは10年に1回と、影響が大きいものほど間隔を開けて発生しており、フレアーから大量の粒子が地球磁気圏に突入すると大規模な停電や人工衛星を含む通信システム上に多大な影響を及ぼすという。 「我々の文明は電気なしでは過ごせない。しかしそういうものが太陽の爆発に一番弱い。いつ何時電気が使えなくなるか分からない恐ろしい社会に私たちは生きている」と柴田教授は訴えた。

近年の高性能探査機カメラが火星の表面に液体が流れた跡を撮影したことで、ほかの惑星にも水があり地球外に生命が存在するかもしれないという期待を多くの人々は抱いた。しかし柴田教授によると、それらの生物が他の生物と通信する知能・技能をもち、かつ通信する意思がある文明として存在している可能性は極めて低いという。

今は生命が溢れる地球も、海から陸上に生命が進出したのはたった5億年前だ。地球ができてからの40億年は火星の表面のように砂漠だったという。地球と条件の似た惑星があっても、5億年前以前の地球上生物のように魚以下の生命体である可能性が高い。逆に私たちより5億年分進化した宇宙人がいるとしても、彼らから見て私たちは魚程度でしかない。「私たちは果たして宇宙人を認識できる能力をもっているのでしょうか。魚は多分人間を人間として認識していない。もしかしたら、私たちが認識できないだけで周りに宇宙人がいるのかもしれません」と柴田教授は言う。

次回の京大宇宙落語会は12月5日京大時計台にて開催される。(束)