決定!ルネベスト’07 いまの京大生ってどんな本読んでるの?(2008.03.16)

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隔号でお届けしている「生協ベストセラー」を拡大し、07年度一年間のベストセラーを発表します。併せて、今、京大でどんな本が売れているかを見る中で、試みに京大生の読書傾向を分析してみたいと思います。

隣りの人が読んでいる本って気になりませんか?同じくらいの世代、同じような経験をしてきた人が読んでいる本がどういったものなんだろう。そんな疑問にも答えられるかもしれません。

購入のガイドとするもよし、自分が読書傾向においてマジョリティにいるのを確認して安心するもよし、現代の大学生の読書にケチをつけるもよし、本を読むのが好きな人もそうでない人も、どうぞご随意にご覧くださいませ。

売れ筋はエンタメ小説 「京都本」など身近な本が人気


65位『英語で京都を案内できますか?』や87位『京都・滋賀のうまいラーメン214』など、「京都本」が売れているのは特徴として挙げてよいだろう。自分の住む京都という独特な場所について知りたいという好奇心が感じられる。『太陽の塔』『鴨川ホルモー』も京都が舞台の小説だ。広い意味では同じ範疇になるだろう。また両者の著者は京大の卒業生でもある。そうした要素が影響してランクインしたのだろう。『金閣寺』28位というのは何なのだろう?三島ブームはあったがこの一冊だけがランクインしているのは特異だ。なにか京大内で口コミ的な広がりがあったのかも知れない。

主な消費者が学生の生協書籍部で安価な文庫・新書がよく売れるのは頷ける。特に新書は、1位『生物と無生物のあいだ』をはじめ上位にも多い。9位『高学歴ワーキングプア』や39位『最高学府はバカだらけ』などは、社会問題への関心からというより、自分たちの身につまされる問題として読まれている部分もあると考えられるがどうだろう。

備考にもあるが、このデータはルネ提供の総売上データを基にしている。基データでは1位は岩波書店の『コンパクト六法』である。そのほか、上位は法律系、経済系、工学系の教科書が占める。また、10年ぶりに新版が出た『広辞苑』も好調で、左表に当てはめれば7位になる。あるいは研究室単位での購入といったケースが多いかも知れないが、大学という場で、全ての知を支える言葉を扱う大書が消費されているのには安心できるというものだ。各種資格、免許の参考書も多く売れていた。特にTOEICなど英語の勉強本が多く、京大生の英語に対する関心の高さも裏付けていた。

考えてみれば当たり前なのだが、おそらく、多くの京大生にとってこのランキングに違和感はないだろう。いろいろな人に感想を求めたところ、違和感や、納得しがたい思いを持ったのは「京大生」にあてはまらない種の人々、あるいは「京大生」のうちでも周縁的(に見える)な人々だった。

ご存知の通り、ブックセンタールネでは生協組合員に対して常時10%割引を実施している。これは学生にとって非常にありがたい話で、本を探しているとき、「まずはルネに」という人が多いのではないか。大多数の京大生は本を買い求める場所としてルネを愛用し、ルネはその大多数の京大生の、最大公約数的な要求には応えていると考える。

究極的にはルネ(の目立つところ)に置いてあるような本が京大生のトレンドだといえる。あるいは順序が逆かも知れないがそれは「鶏が先か卵が先か」程度の問題だろう。本などは各人が気に入ったものを読めばいい話で、ランキングや書評に価値はないかも知れない。だが、他の多くの人が読んでいる本を知り、翻って自分の読書習慣を見直してみることには意味があると思う。

ランキング内の本を見ることで、「そこにない本」についても考えて見て欲しいと思う。ここにある本は当然、「ルネにある本」だ。この機会に普段行かない書棚、知らない本屋にも足を運んでみてはいかがだろう。

京大教授による分析


◇文学研究科教授 若島正 (93位『ロリータ』翻訳)

最初に告白。リストに挙げられた100冊のうち、読んだことがあるのはちょうど10冊だった。まあそんなところかな、という感じ。

フランスの文学批評家ピエール・バイヤールが昨年出した話題本で、『読んでいない本について語る方法』という珍書がある。バイヤールがどこまで本気で書いているのか、冗談なのかわからないが、彼の意見では個人の読書体験そのものではなく、本の社会的な位置づけ、あるいは本をめぐる話題のほうが大切なのだという。世間はドスト・ブームらしいから、ひとつ『カラマーゾフ』でも買ってみるか、と考える大多数の人間はいわばバイヤール派である。ひそかに棲息するアンチ・バイヤール派は、おそらく見知らぬ本との出会いを求めて、図書館で人の気配がない書架のあたりをうろついているのだろう。

◇人間・環境学研究科教授 鎌田浩毅 (76位『成功術 時間の戦略』)

リストの中に小説が多く学問関係の本が少ないのは、「科学の伝道師」を標榜する火山学者としては気になるところだ。もちろん小説や詩歌を読んで教養を高めることは、大学時代におおいに推奨されるが、同時に骨のある書籍も読んで欲しいと思う。私の学生時代には、中央公論社から「世界の名著」「日本の名著」のシリーズが次々と刊行され、みな背伸びをしながら貪り読んだものだ。現在、この内容は新書サイズの「中公クラシックス」として出ている。生協書籍部にも並べられているので、是非挑戦していただきたい。

もう一つ、文庫が圧倒的に多く新書がそれに次ぐという点も、おそらく価格の問題からこの結果が出たのだろうが、興味深かった。実は、私自身、学生にもっと本を読んでもらうために、ここ6年ほど新書の著作に重点をおいてきた。京大生に向けて勉強の仕方を説いた拙著『成功術 時間の戦略』(文春新書)がランキングに入っていたのは、著者として嬉しいだけでなく、この戦略が間違っていなかったことを知った。昨今では、優れた学術書が文庫・新書で廉価に出版されている。読書は新しい世界へ導いてくれる最高の案内人なので、諸君にはぜひ本に親しんで欲しいと願う。

京大生に人気?の新潮文庫編集部による分析


◇編集部 佐々木 勉さんの話

通常のシェア比を上回る高率での新潮文庫率に驚いております。比較する資料が、小社の売上データ(全国、年齢によるセグメント化なし)しかありませんので、詳細な分析は叶いません。以下はすべて印象ということになります。東大や早大や同大の生協の同様のデータがあれば、京大生に特異な現象が、明確にあぶり出せるのですが。

新潮社の同期間の売上順位と比べて、特筆すべき点は、
<京大生に受けている作家>
 ・森見登美彦、村上春樹、サイモン・シン、若島正
<京大生に受けない作家>
 ・志水辰夫、佐藤多佳子、畠中恵、横山秀夫、夏目漱石、宮部みゆき、山崎豊子、重松清
といったところで、その他は全国的な傾向と同調しています。京大出身の作家や京大の先生の翻訳本が全国傾向よりも順位が上がるのは、愛校心の現れと見て取れるようです。『フェルマーの最終定理』や『暗号解読』の好調な売り上げ結果は、京大生の知的な気風がストレートに現れた結果ではないかと思われます。有名漫画家の装画カバーに変えた集英社文庫の『人間失格』が全国的に驚異的な売上を示したにもかかわらず、渋いカバーの新潮文庫版『人間失格』が売れているのは、知的で穏健な京大生気質が現れていると思われます。ジャンルを観点に見れば、一般的なエンタテインメント小説の人気に比して、純文学、ノンフィクション、歴史時代小説、経済小説などが極端に人気がないことが分かります。人気のエンタテインメント小説とはいいながら、「全国的な流行には背を向け、独自の判断で(クチコミか店頭宣伝物の影響か)、特定の作家に人気が集中している」という傾向が見えます。

読書はあくまで息抜きで、書店店頭POPやクチコミで友人などから聞いた同時代のエンタテインメント小説を勉強やアルバイトの合間に読んでいるというイメージでしょうか。東京の学生は、今一番話題の作家の新作を競うように読むという情報に敏感な傾向が感じられますが、京大生は、マイペースで読書を楽しんでいるという感じです。東京の学生は、情報享受のヒエラルキーが、勉強などの行為よりも高いということであり、京大生は、そうした読書界の流行を追うよりも地に足をつけて、学問するのか、他の趣味にいそしむのか、なにがしかのことを読書より優先している、といえるのではないでしょうか。

一般的な感想として。全国的に売れた『国家の品格』『国家の罠』『ウルトラダラー』「塩野七生本」といった書名がランキングに入ってこないのは、京大生(あるいは学生一般)の政治や社会や歴史や文明への無関心を示しているのかもしれません。古書店で買っているのでしょうが、岩波新書、講談社現代新書、中公新書といった啓蒙系新書がリストに上がってこないのは、何とも寂しい気がします。

新潮文庫は単体の文庫叢書としては、日本一の販売シェア(19%前後)を有しています。これは、新潮文庫がもっともよく売れていることを単純に表しています。つまり、日本人の読書する人のモードが新潮文庫であるといえると思われます。読書する人に限って言えば、新潮文庫は、やわらかくもかたくもない、平均的な文庫であるといえるでしょう。日本人の大衆の文化レベルをそのまま、新潮文庫のラインナップが写しているともいえるかもしれません。このことをふまえて言えば、京大生の新潮文庫率の高さは、読書界における平均値に京大生があることを示しているといえます。20歳前後にして早くも、平均値に到達しているというのは、現代の平均値と比した場合、知的早熟を示しているのかもしれません。

以上、明らかな暴論も散見しますが、新潮文庫編集部の感想・分析とさせていただきます。

実際の現場より ブックセンタールネによる分析


◇文芸担当 山下貴史さんの話

一見してわかるのは、世間一般のベストセラーとさして変わらないということです。東野圭吾や伊坂幸太郎は全国的なベストセラー作家であって、京大あるいは大学の書籍部だから売れているというわけでは決してないでしょう。売れている本の内容を批判するわけではないですが、「ソフト」な、「ライト」な小説が好まれるように思います。5、6年前まではそうした世間の傾きに抵抗する動きも感じられたのですが、年々、京大生の読む本と世間で読まれている本が一致してきている流れを感じます。売る側としてかなり微妙な言説ですが、京大の書籍ランキングに軽めの本が多く並んでいるのには若干の違和感を覚えます。というのも、私は文芸担当ということになっていますが、そもそもブックセンタールネは専門書店に位置づけられているのです。もともと「知の宝島」というコンセプトがあって、京大生の知的好奇心を満たす助けとなるような、あるいは学業の手助けになるような、京大に相応しい本屋でありたいということがありました。いわゆるライトノベルやコミックを置かないのは、それが理由です。置いたら売れるだろうなという印象はあります。けれど一方で『暗号解読』(23位)や『数学的にありえない』(文藝春秋)など、知的好奇心を惹く本も結構売れているのは個人的にいい傾向かな、と思います。余計なお世話なんですけどね(笑)。

ベストセラー本も、文庫化を待って買う人が多いですね。そのことだけでいうのではありませんが、学生さんが本にかけるお金と情熱は徐々に減っているのは実感としてあります。専門書離れも確かにあります。全体的な傾向なのでどうしようもありませんが。割引フェア中はよく売れます。そこで売れる本も全国傾向と大差はありません。「新潮夏の100冊」とかね。岩波フェア中は岩波文庫がよく売れます。これは特徴的ですね。大学生のうちに時間をかけて岩波やちくまといった学術系の本にも挑戦するのはいいことだと思います。長期休暇まえのフェアや出版社フェアなど「割引フェア」中はやっぱりよく売れるのですが、「テーマフェア」の本はあまり売れませんね…。割引フェアと違って通常割引(10%オフ)なので。最近の「タイムトラベル」特集もいまいち…。こちらでもいろいろ考えて工夫しています。京大生協書籍部としてのルネが特色を出せる場だと考えているので、注目してほしいかな、と思います。

本は知識を与えてくれ、思考を膨らませてくれます。販売側としてはまた微妙な言い方になってしまいますが、このランキングはあくまで参考程度に、「ベストセラー」に惑わされず、自分の世界を広げてくれるような本を選んで読んでください。

編集員の選ぶ この一冊


ベスト100の中から編集員が選んだ4冊を紹介します。隔号連載の「生協ベストセラー」でもそうですが、編集部では「本紹介」と「書評」をあまり意識して区別していません。つまり、オブジェクトレベルとメタレベルをわざと混同して、どちらに力点を置くでもなく自由に論じています。皆さんと同じ、いち学生として、ある本をどう読んだのか、それをお伝えしたいと思います。それではどうぞ。

◇『ウェブ時代をゆく』(梅田望夫著、ちくま新書、2007年)=65位

「ウェブ時代ではこんなに素晴らしいことができます。だから志向性を持って頑張りましょう」という本だ。「『ウェブ進化論』完結編」と帯で謳う通り、ウェブ時代の意味を描いた『ウェブ進化論』(78位)よりも具体的提案に力点が置かれている。

私の友人たちの内では前作『ウェブ進化論』は好意的に受容された。インターンシップに行くなど大学から飛び出して活動する友人は、ウェブ上で何か事業を興したいと思うようになったらしい。また梅田氏は様々な検索エンジンを使って、自著へのレビューに目を通しているという。その友人がミクシィに書いたレビューにも目を通していたらしく、友人は感激していた。「リアル世界に不満を持っているほどウェブへの期待は大きい」という言葉につきるのだろうか。この本が京大生の一定数に読まれた理由も、こんなところにあるだろう。

梅田氏によれば、ウェブは人の善性に依るものであり、弱者や少数者に味方し、開放されていて、個性を伸ばし、多様性を生かすものだとする。これは『ウェブ進化論」から一貫した彼の主張だ。彼の言葉に重みをなすのは、コンサルタントとしての発言ではなく、『ウェブ進化論』以降の彼のブログでの実践である。「勇気づけられた」とか「楽観的に過ぎる」だとかいった毀誉褒貶をくぐりぬけて、それでもなお明るい未来を語り続けることの決意が感じ取れる。この本は大学生を中心とした20~30代に向けて書かれているが、彼らウェブ世代を励まし、旧き世代を啓蒙するといった、露払いの役割を梅田氏は自任しているように感じる(そのへんは茂木健一郎との共著『フューチャリスト宣言』に色濃い)。

本書を読んで最も興味ぶかいのは、こうした過剰ともいえる自意識(この手の本はたいていそうだが)と「病的なまでの心配症」である。「病的なまでの心配症」とは著者自身が挙げている言葉だが、ウェブ上での発言をまめにチェックしているところはまさに言い得て妙だ。繰り返される「楽観的にすぎる」という批判も、なんだかズレている。「心配性で楽観的」これがウェブ時代の狂気か?

惜しむらくは、この本を読んでいる人はほとんどウェブ社会に適応できるのだろうなあと思う。この本を読むという「志向性」があるのだから。(ち)

◇『手紙』(東野圭吾著、文春文庫、2007年)=30位

天才物理学者・湯川博士が難事件を解決していく『探偵ガリレオ』『予知夢』を原作としたドラマ・『ガリレオ』の撮影が昨年京大で行われたためか、ベスト100の中には5つも東野さんの著作が顔をだす。さくさくと読みすすめることができる平易な文章と、あっといわせる意外な展開も人気の秘密だろう。前述2冊の続編であり、2006年に直木賞を受賞した作品、『容疑者Xの献身』を原作とした映画の製作もすすんでいるそうで、東野圭吾ブームはしばらく続きそうだ。

そんな中で、今回取り上げるのは「手紙」。東野さんの著作は高校時代にあらかた読んだけれど、これだけはなぜか手にとらず、大学生になってから読んだから、記憶に新しい。感動作、といわれることが多いけど、決してそんなことはない、と思う。これを読んで泣ける、と言っている人はまだこの作品の内容をどこか他人事だと思っているのではなかろうか。

強盗殺人の罪で服役中の男を兄にもつ主人公が、自分にまったく非はないのに、肉親に犯罪者がいるというただそれだけの理由で人生の様々な場面で理不尽な目に合い続ける。ミュージシャンになる夢も諦め、好きな人と結婚することも許されず、就職先ではその事実が明るみにでると職場を変えられた。疲れきり、どうして俺がこんな目に、と嘆く主人公に、一人の男(社長)が辛辣な言葉を投げかける、「我々は君を差別しなきゃならないんだ。自分が罪を犯せば家族をも苦しめることになる、と、すべての犯罪者に思い知らせるために」「君が今受けている苦難もひっくるめて、君のお兄さんが犯した罪の刑なんだ」と。

主人公と同じく、自分もこんな考え方をしたことはなかった。目から鱗だった。私たちが社会で生きていく際に重要なのは、人間性よりも社会性。犯罪は、肉親の社会性をも奪ってしまう。獄中から手紙を送り続ける兄には、その覚悟が、その自覚が、伴っていなかったのだ。ただただ弟のことを思ってとった行動が、逆に弟を苦しめていってしまう。他に家族のいない兄弟、彼らは最後まで、どちらも救われることは、ない。

自分は差別なんて絶対しない、などと誰が言い切れることができよう。作者は平和な日常の中で偽善者顔して生きている人々に、容赦なく現実を突きつけ続ける。読んでいるうちに何度かうなるほどに辛くなる、その分考えたこともないことを考えさせてくれる、ためになる一冊だった、と思う。(義)

◇『武士道』(新渡戸稲造著、矢内原忠雄訳、岩波文庫、1938年)=52位

現代に生きる私が読んでも、新しい発見が少ないのは、あるいは著者が紹介した「武士道」や「武士」が広く一般化している事を裏付けているのかも知れない。 

この本は、16世紀に宣教師によって紹介された「サムライ」に強い好奇心と畏怖をもっていた西洋人に向けて、英語で書かれた本である。それまで日本人や武士に関する書物は少なかったため、乾いた砂が水を吸う勢いで受け入れられたという。セオドア・ルーズベルト大統領がこの本を読み、日本人の美徳を知った事でポーツマス条約締結につながったという逸話も残る。

新渡戸稲造はキリスト者であった。一人の日本人キリスト者が英語で武士論を論じているのである。そのねじれた構造を知っておかなければこの本を読み解くことはできないし、面白さも半減してしまう。彼は武士道を自然宗教的なものと見なしており、啓示宗教たるキリスト教との比較を試みている。そして、「武士」の向こう側にいる「日本人」の姿を明らかにするのがこの本の主題であるように思われる。

巷間でいわれるような「現代にも通用する哲学」ではないだろう。あくまで「かつての」日本人論が展開されている。侍になりたい人は実践道徳として読むのもいいかも知れない。(秀)

◇ユリイカ「総特集 荒木飛呂彦」(青土社、2007年)=78位

売上ベスト100に『ジョジョの奇妙な冒険』で有名な荒木飛呂彦の特集が入った。100位までに入った雑誌は京都本をのぞいてこれのみ。学術誌「Cell」の表紙で話題になったこともあったが、改めて荒木人気・ジョジョ人気の高さを示した。

私は『ジョジョ』読者ではないので、読んでもさっぱり、となりそうなのに、これがひたすらに楽しい。何が楽しいかと言えば、それは執筆陣のテンションの高さだ。とにかくみな『ジョジョ』が大好きでたまらないらしい。ストーリーや描線などに関するものは「なるほど」だ。なかには、コマ割りや構図が生む荒木飛呂彦独特の視線のねじれについてのイズミノウユキの論考がある。内容自体おもしろくて興味深いのだが、標準的なマンガ本の持ち方のモデルまで分析に出てきて、「細かいな」、さらには「そんな持ち方しないよ」とまで思ったりする。とにかく熱い。熱くていい。

『ジョジョ』読者の友人もこれを読んで「おもしろい」を連発していた。そして読み終わってのひとことが一致した。「『ジョジョ』読みたい」。『ジョジョ』を読んだことあるかどうかなんて関係ない。そんな一冊だ。(鮭)

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