文化

理学部校舎に光る 謎ネオン

2015.06.01

夜中に今出川通を歩いていて、ふと、京大北部構内の理学部校舎を見上げてみる。すると、たくさん並んだ窓の一つに何かが光っている。妖しげに点滅を繰り返すネオン、しかし何を象っているのかは分からない。

そんな体験を持つ人は多いのではないだろうか。この奇怪なネオンの正体は何なのか、そして何を意図してこんなものを大通りに向けて設置しているのか。

このネオン=写真=が取り付けられているのは、阿形清和理学研究科教授の研究室である。阿形教授の研究対象は「プラナリア」といって、体をいくら切断しても再生して増えてゆくという珍妙な生き物だ。阿形教授はその再生のメカニズムを解明し、医学の進歩に役立てようと日々研究を続けている。そしてこのプラナリアこそが謎のネオンの正体である。では、何のためにそのネオンを見せつけるようにして置いているのか。その意図を、教授ご本人に語っていただいた。

教授によると、それは「窓口」なのだとのこと。見る人に科学の楽しさを予感させてさらなる興味をかき立てる案内役、それが「窓口」だ。こうした役割を背負ったプラナリアネオンは他にも存在しており、阿形教授による講演の会場にも姿を見せている。その輝きを見た来場者は、科学が堅苦しいものだという固定観念を解き、楽しむ余裕をもって講演に臨むだろう。

「若い学生や一般の方々に、もっと科学への親しみを持ってほしい。」と阿形教授は語る。ネオンの点灯時間は平日・休日問わず午後6時から午前0時まで。今出川通を往来する人々に向けて、毎日のように声なき声を送っている。今度見かけることがあれば、科学やその他学問に向ける眼差しを少し改めてみるのはいかがだろう。(佳)

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