文化

[京大あれこれ]北部構内の働き者 小さな庭師を追って

2015.05.16

北部構内に「芝刈ロボットの実演」と書かれた張り紙がある、そんな話を小耳にはさんだ。気になって探しにいったところ、旧演習林事務室の庭園を取り巻く柵に、確かにそれはあった。ご丁寧に連絡先まで書いてある。庭園内にはロボットらしきものの姿も見え、これは行くしかないだろうと、連絡先にあった農学研究科の飯田訓久教授にお話を伺った。

このロボットは、スウェーデンのハスクバーナ社による自走式草刈機「オートモア」という製品だという。欧米の広い庭園の芝をきれいに保つために開発されたこの機械は、ワイヤーで囲まれた範囲内を自在に動き回り、車体の下についている二枚の刃で伸びた芝を刈る。毎日動かすため芝を常に美しい状態に維持できるうえ、その草を集める手間もない。音も静かで、毎日8時間稼働させたとしても電気代は月々数百円程度で済むのも利点だ。

この商品は海外ではすでに販売されているのだが、日本でも今年から売り出されることとなった。それに先立ち、京都大学や筑波大学は様々な状況下での動作確認のための場所を提供している。京大農場が高槻から木津川へ移転するに当たり、果樹の下草を刈るのが大変だという意見があったことが受け入れのきっかけとなった。2013年からの試験運用では、直射日光による過熱や雪、雨による影響などを調査しているそうだ。

動き回る姿に愛嬌があるこのロボット。地面を踏み固めすぎないよう、今の時期は稼働時間を平日の1日あたり2時間に制限しているのだという。動く時間は日によってはまちまちだが、運が良ければ働いている姿を見ることができるかもしれない。(鹿)