〈春秋講義〉「アフリカを考える」 文化の伝承手段としての「名前」(2015.04.16)

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4月8日は、アジア・アフリカ地域研究研究科の梶茂樹教授が「アフリカ人の名前―無文字社会における命名法を考える―」と題して講演した。梶氏は、コンゴのテンボ族、ウガンダのニョロ族を例として、自分達の言語を文字に表せない社会では、様々な出来事やメッセージを記録し伝える役割を人の名前が担ってきたことを説明した。

テンボ族やニョロ族では、人名に固有名詞をつけることはまずない。普通名詞や文章が主である。口に出せばその時限りで消えてしまい、会話した相手だけにしか伝えることのできない内容を、名前の中に記録することで時間や空間を超えて残すことができるのだ。では実際、どのような名前が子につけられるのだろうか。

子供の名前につけられるのは、子が生まれた時点での親の一番の関心事である。これらはマイナスのイメージを持つ語であることが多い。例えば「道」という名前は、出産の際に母親に陣痛が起きて病院へ急いだが間に合わず、道端で子を産んだことを表している。「愛されること」という名前は、母が姑からの陰口に対して「私は夫に愛されているのだ」と反論するものである。現地では、個人そのものと名前には何の関連性もないと考えられているため、個人がマイナスの意味を表す名前をつけられても気にすることはないという。

一方で、そうした誕生名以外にも自称やあだ名が名前となることもある。自称はニョロ族では見られないが、「石鹸」「錠前」といったスワヒリ語由来の言葉が、良い響きだからという理由で使われることが多い。あだ名の例としては「酒飲み」などがある。

彼らの名前の中には諺や格言に対応するものも多く、名前は文化のエッセンスを伝える役割としても機能している。梶氏は名前が無文字社会において記録としての役割を果たしていることを改めて強調し、講演を締めくくった。  (国)

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