第60回京都大学未来フォーラム いしいしんじ氏が講演
2014.11.01
10月24日、京都大学未来フォーラムが開催された。60回目の今回は、作家のいしいしんじ氏が「呼吸する小説」と題し、今までの歩みを振り返った。
いしい氏は京大文学部に入学しフランス文学を専攻していた。講義にはあまり出ず、図書館にこもって古い図鑑を読みふけっていたという。
「モノを書くことしか自分にはできない」と語るいしい氏。大学を卒業してからは注文を受けて短編小説を書く生活を送っていた。「なんでも書けるな、俺」と思っていたある日、4歳のころに書いた「たいふう」という小説を実家で見つける。幼いながらも、人に気に入られよう、良いものを書こうという気配が一切ない内容に衝撃を受けた。読む人のことを意識して書いていた今の自分と比較して敗北感を覚えた一方で、「もっと自分の内面に向き合い、この時の姿勢で書いていこう」と決意を新たにする。
それから15年、数多くの小説を発表してきた。この日もフォーラム前に短編を脱稿したばかり。いしい氏によると、小説には「外側小説」と「内側小説」があるという。外側小説はエンターテイメント小説のように、作家が用意した世界を読者が楽しむ小説。一方で内側小説は作者が自分の内面を綿密に描写したもの。いしい氏は「その中間にあるような小説を書いていきたい」と語った。
京大卒業生が講演する未来フォーラムは2004年より年数回開催されている。誰でも無料で参加可。次回は12月2日、御立尚資氏(ボストンコンサルティンググループ日本代表)が「変化の時代」と題し講演する。(築)
いしい氏は京大文学部に入学しフランス文学を専攻していた。講義にはあまり出ず、図書館にこもって古い図鑑を読みふけっていたという。
「モノを書くことしか自分にはできない」と語るいしい氏。大学を卒業してからは注文を受けて短編小説を書く生活を送っていた。「なんでも書けるな、俺」と思っていたある日、4歳のころに書いた「たいふう」という小説を実家で見つける。幼いながらも、人に気に入られよう、良いものを書こうという気配が一切ない内容に衝撃を受けた。読む人のことを意識して書いていた今の自分と比較して敗北感を覚えた一方で、「もっと自分の内面に向き合い、この時の姿勢で書いていこう」と決意を新たにする。
それから15年、数多くの小説を発表してきた。この日もフォーラム前に短編を脱稿したばかり。いしい氏によると、小説には「外側小説」と「内側小説」があるという。外側小説はエンターテイメント小説のように、作家が用意した世界を読者が楽しむ小説。一方で内側小説は作者が自分の内面を綿密に描写したもの。いしい氏は「その中間にあるような小説を書いていきたい」と語った。
京大卒業生が講演する未来フォーラムは2004年より年数回開催されている。誰でも無料で参加可。次回は12月2日、御立尚資氏(ボストンコンサルティンググループ日本代表)が「変化の時代」と題し講演する。(築)