文化

[京大あれこれ]何のため?総人棟の扉

2014.11.01

吉田南総合館東棟(共東)から北棟(共北)に移動する際「おや?」と思ったことがある。総合人間学部棟の南側2・3階部分につけられた不自然な扉=写真。どこにつながるでもなく、足場のような部分が少しだけ飛び出している様はまるでプールの飛び込み台のようだ。一方、総人広場をはさんで反対側に目をやると、吉田南1号館(1共)と共北の3階部分は渡り廊下で繋がっている。例の扉は、総人棟でも同じように渡り廊下を造ろうとした工事の途中で頓挫した痕跡であるように思われた。

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共東から撮影した総人棟。三階扉の向こうには荷物が置かれている

ところが施設部に問い合わせたところ、この扉はどうも渡り廊下とは何の関連もないようだ。総人棟には実験のための部屋が存在し、階段でもエレベーターでも運ぶことのできない大型の実験器具を、あの扉からクレーンを使って運び込むらしい。なるほど言われてみれば合点がいく。不自然に張り出しているコンクリートも、運び込む際にクレーンと建物内部をつなぐ重要な役割を果たしているのだろう。

では、なぜ先のような勘違いを起こしてしまうのだろうか。総人棟は、1共と共北が相次いで建設されるよりも前に完成している。しかし、総人棟との共北に対する位置関係は、1共のそれとほぼ同じであるため、反対側がついているのならこちらも、という発想に至るのだ。

とはいえ、現在扉の内側には多数の荷物や台車などが置かれ、実験器具が運び込まれる様子はない。あの扉が活躍しているところを一度は見てみたいものだ。(国)